▲香港の競馬のゲートボーイ(撮影:高橋正和)
今春、ゴールドシップに端を発した“ゲート問題”。日経新聞・野元賢一記者のコラム(2015年7月27日更新分)や、日刊競馬・柏木集保さんのコラム(2015年6月29日更新分)でも、それぞれの見解を語っていただきました。「ゲートに入らない」「大きく出遅れる」など、ゲートでのアクシデントはたびたび起こっています。そこで、当事者側が考えるゲートの問題点、解決策とはどういうものなのか、調教師や騎手に直撃取材。東西トレセンの関係者たちの声を、2日間にわたってお届けします。と同時に、netkeibaユーザーの皆さまからも、ゲート問題に関するご意見を募集いたします(当コラム文末にて)。この問題、競馬ファンの皆さまはどう考えますか?
栗東・調教師
「日本のゲートは厳しいですよね。スタートの直前まで馬の横に人が付いていれば防げる事故もいっぱいあるし、ゲートボーイを付けることは世界的にもやっていることなんだから、良いことは取り入れるべき。お客さんのお金がかかっているのだから、お客さんに納得のいくようにするべきなのに、興行主が何の対策もしないなんて不思議で仕方がない。人間の力で止められることがあるのなら柔軟に対応するべきです。返し馬でポニーを横に付けるのもいいと思うし、馬が落ち着いた状態で出走して力を出し切ることが、一番お客さんのためでもあると思いますけどね。ゲートボーイ導入についてはJRAに対して何度も訴えかけているのですが、なかなか受け入れてもらえない現状です」
栗東・調教師
「宝塚記念のゲート問題に関して個人的な意見を言わせてもらえば、あれは厩舎サイドの責任ではないかと思いますね。枠入りや駐立不良は、レースにいくまでに対処すべきことですし、それを矯正していくことが自分たちの仕事ですから。公正な競馬でファンを納得させるためにも、ゲートボーイは導入するべきでしょう。ゲートの構造や、補助員の技術など難しい面もあるでしょうが、ゲートは練習するだけでも馬にとってはかなりの負担なんです。そこに人が付いてあげることだけでも、馬にしてあげられる優しさですから」
栗東・調教師
「ゲートが悪い馬は早めに矯正して、癖を出さないように工夫するのが私たちの仕事。まずはそこが大前提でしょう。同じレースに臨む馬にも関係者にも、そしてファンの方たちにも迷惑を掛けてはいけませんからね。ただ、JRAの対応には、残念ながら疑問もあります。枠入りが悪ければ不必要にステッキを入れたり、バック寄せからベルト押し、前扉を開けて、騎手を下馬させ、そして目隠しをして……と、完全にマニュアル通りの手順。時間が掛からないに越したことはないんだから、すぐに騎手を下馬させたり、目隠しをしたらいいと思うんですけどね」
栗東・調教師
「ゲートが悪いことにはいろいろ要因があると思うけど、そこの原因をしっかりと見極めて、行儀良く馴致することが自分たちの仕事。ゲートボーイ導入は設備の問題や補助員によっての差があるだろうし、導入するといっても課題があるでしょうね」
栗東・調教師
「ゲート試験という審査をクリアして出走するわけだし、JRAに対してどうこう言うのは違うと思います。