
▲今月は北橋修二元調教師との師弟対談。「弟子を取る」その意味と覚悟とは
(つづき)
“特別扱いはしない”それは最初に言ったよな
福永 競馬学校に入って、どこに所属するかっていう話になったとき、先生に「関東で乗らなアカン」って言われたのを覚えてます。
北橋 当時はまだ東高西低やったし、人口の比率からいっても関東が盛り上がらなきゃアカン、盛り上げてほしいと思っていたから。
福永 僕も一度は、「よし、関東で頑張ろう!」と思ったんですけどね。
北橋 それがまた、いよいよトレセン実習だというときになって、またうちに来たわけや、裕美子ちゃんが(笑)。聞けば、「修ちゃんのところに入りたい」と。「本当に本人がそう言ったのか?」って念には念を入れて聞いたら、「本人がそう言うてる」と。そりゃあもう、えらいこっちゃと思ったわ。
福永 関東は知ってる人がいないしなぁ、でも関西には修ちゃんも叔父さんもいるしなぁとか、僕なりにいろいろ考えたんです。まぁホームシックもあったんですけど(笑)。
北橋 祐一を預かると決めた瞬間から、「どうやって馬を集めようかな、誰に頭を下げようかな」って、そりゃあもう考えた。とにかく一生懸命、馬を集めたよ。預かるからには、本気で育てなアカンとわしは思うから。
福永 僕が所属してから一気に馬主さんの数が増えましたもんね。本当に恵まれていたと思います。全幅のバックアップをしていただきましたから。
北橋 でも、甘やかしたつもりはないし、特別扱いもせんかったよな。実習に来たときも、当時兄弟子だった(中野)寿人(現調教助手)に思いっ切り殴られたやろ?