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新潟1600mでこそ/関屋記念

  • 2015年08月15日(土) 18時00分


例年通りの直線勝負

 同じマイルの新潟2歳Sが、前半スローから後半の「切れ味勝負」に持ち込まれるのがパターンになったのと同様、この夏の快速マイル重賞も前半は落ち着いたペースになり、最後の直線約660mに集約されるスパート合戦になる。

 すっかりこのパターンが出来上がった最近7年間の時計を平均すると、勝タイムの平均は快速重賞らしく「1分32秒5」。ただし、そのバランスは特殊で、

 前半800m「47秒0」――後半800m「45秒5」。

 前半の半マイルの方が「1秒5」も遅い、明らかなスローペース。前半1000m通過の平均は「58秒72」。上がり3ハロン平均は「33秒78」となる。

 先行し、直線でピッチを上げて加速できる先行型に有利なペースであると同時に、楽に追走できるから、最後に猛然と伸びる「切れ味優先型」もまたスローは歓迎。

 安定した平均スピードを誇っても、後半3ハロンを32秒台でフィニッシュできる馬はいくらでもいるから、爆発力のない馬は、勝ちみの遅さが死角になる流れともいえる。

 今年は12頭立て。飛ばす先行馬が出現の可能性は低く、例年通りの直線勝負だろう。追い込むサトノギャラント(父シンボリクリスエス。母スティンガー)に期待する。

 直線で一気に伸びるレース内容は、鋭い切れ味を武器に京王杯SC2連勝、阪神3歳牝馬S、4歳牝馬特別(現フローラS)など重賞を5勝した母スティンガー(父サンデーサイレンス)ゆずりだが、速いペースになっては末脚温存とならないから、明らかにスローペース向きの追い込み馬が、この馬の特質。

 昨年の関屋記念はヤヤ重のわりに流れはスローではなく、後方からインに突っ込み、自身「59秒1-33秒6」=1分32秒7。3着にとどまったが、馬場もペースもこの馬に不向きだった。新潟1600mでこそ…の真価を発揮したのは今春の谷川岳S。前後半「48秒6-45秒1」=1分33秒7の上がり勝負を、最後方追走からスペースを探しつつ馬群を割り、この馬自身は「61秒8-31秒9」=1分33秒7。

 文字通り直線だけで16頭立ての混戦を制してみせた。右に左に進路を探しつつなので、上がり31秒9の数字以上に鋭かった。レースの上がりは「11秒4-10秒5-11秒4」=33秒3なので、サトノギャラント自身は推定「11秒2-10秒1-10秒6」=31秒9の脚を使ったことになる。

 昨年の谷川岳Sでも、スローを直線だけの切れで突っ込んで2着した同馬は、上がり「32秒3」を記録している。このときも柴山騎手とのコンビ。サトノギャラント=柴山の新潟1600mは【1-1-0-0】である。相手は強力だが、12頭立てなら馬群はさばきやすい。持ち味フルに発揮がある。

 スロー必至なので、機を見るに敏なM.デムーロ騎手のエキストラエンド(1分31秒9が2回もある)が相手筆頭。3番手が戸崎騎手のスマートオリオン。以下押さえ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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