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アイゼン(牡 栗東・中内田充正 父アドマイヤムーン、母アークティックミスト)
モハメド殿下の所有馬。母アークティックミストは不出走馬だが、有馬記念(GI)と天皇賞・秋(GI)を2連覇して2年連続JRA年度代表馬に輝いたシンボリクリスエスの半妹にあたる良血。「アドマイヤムーン×Seeking the Gold」は朝日チャレンジC(GIII)の勝ち馬アルキメデスと同じ。母は切れ味に乏しくパワーあふれるタイプなので、切れ味に富んだ芝向きの父との組み合わせでいいとこ取りができれば楽しみが大きい。全姉フローズンムーンは1勝馬だが、それ以上を期待したい。
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アメリカンイナズマ(牡 栗東・音無秀孝 父Smart Strike、母River's Prayer)
半姉エイシンキサナドゥは小倉2歳S(GIII)5着馬。1200〜1400mを得意としている。母River's Prayerは現役時代にアメリカで走り、プリンセスルーニーH(米G1・ダ6f)など3つの重賞を制した名牝。父Smart Strikeは07、08年に米リーディングサイアーとなり、Curlin(米年度代表馬)、English Channel(BCターフなどG1を6勝)、Lookin at Lucky(プリークネスS)、フリートストリートダンサー(ジャパンCダート)、ブレイクランアウト(共同通信杯)など多くの一流馬を送り出している。パワフルな血統構成ではあるが、芝向きの血も入っているので、芝でもダートでもやれそうだ。一本調子なところがあると思われるので距離はマイル以下がいい。
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エルリストン(牡 栗東・須貝尚介 父マンハッタンカフェ、母アスペンアベニュー)
母アスペンアベニューは現役時代3戦未勝利に終わったものの、レジネッタ(08年桜花賞-GI)の叔母、アップドラフト(09年京成杯オータムH-GIII・2着)の半妹にあたる。4代母Fall Aspenは20世紀を代表する名繁殖牝馬。母方にBlushing GroomとMr.Prospectorを併せ持つマンハッタンカフェ産駒にはルージュバック、メイショウクオリア、ベストメンバー、サンディエゴシチー、メイショウレガーロといった活躍馬がおり、連対率20.7%、1走あたりの賞金額280万円は、マンハッタンカフェ産駒全体の17.1%、177万円を上回っている。芝・ダート兼用のマイラーだろう。
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ステイザベスト(牡 美浦・高柳瑞樹 父ステイゴールド、母ビジネスロマン)
「ステイゴールド×メジロマックイーン」は、ドリームジャーニーとオルフェーヴル兄弟、ゴールドシップ、フェイトフルウォーを出している有名なニックス。本馬はこの組み合わせ。なおかつ母ビジネスロマンはゴールドシップの母ポイントフラッグと同じ「メジロマックイーン×プルラリズム」という組み合わせで、さらに3代母の父がPrincely Giftの息子である点まで同じ。本馬とゴールドシップの配合構成はかなり近い。兄姉で最も出世した産駒はJRAで2勝を挙げたダイビングキャッチ(父トーセンダンス)だが、本馬は配合的におもしろく、母の半兄にセントリック(96年東京ダービー)、2代母は浦和桜花賞を勝ったコトブキトミオーという牝系の質も上々。芝向きの中長距離タイプとして期待できそうだ。
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ミサキ(牝 栗東・平田修 父ワークフォース、母ワイキューブ)
母ワイキューブは北九州記念(GIII)3着、クイーンC(GIII)4着などの成績を残したスピードタイプだった。父ワークフォースは新種牡馬。現役時代に英ダービー(英G1)、凱旋門賞(仏G1)などを制した典型的な欧州2400mタイプで、Kingmambo、Sadler's Wells、Allegedなどを近い世代に抱えているので、早い時期の2歳戦に向いた血統ではなく、3歳以降、距離が延びてから本領を発揮するタイプだと思われる。それだけに早熟性とスピードを補う血を入れるのは重要で、母ワイキューブが現役時代にスピードを活かすタイプだったのは好感が持てる。芝向きのマイラー〜中距離タイプだろう。