積極策に出る可能性大
金曜日の夜から土曜日の午前中にかけてかなりの降雨があったため、土曜日のダートは水の浮いた「不良馬場」でスタート。しかし、水はけが良く、昨年の紫苑Sを除き、もう何年も不良馬場になったことがないとされる芝コースは「稍重」止まり。表面はびちゃびちゃに見えるが、馬場状態を決定する地盤には水分は少ない(溜まってはいない)という意味である。日曜日には回復して、気持ちだけタイムがかかるかも、という程度の良馬場だろう。
スローから、直線660mの攻防に集約される「新潟外回り1600m」のレースパターンが、近年になるほど自然で、かつ当然の流れになっている。良馬場の最近6年間の平均勝ちタイムは「1分34秒0」。12月の朝日杯FSより速いが、レースバランス平均は「47秒7-46秒3」であり、4コーナーにさしかかる1000m通過は「60秒0」、上がり3ハロン(直線)平均は「34秒0」。2歳馬だから道中で揉まれるロスを極力避け、最後方から直線は一番外に回って追い込む好走例がもっとも多い。
だが、そっくり同じパターンが完成されていた2週前の「関屋記念」は、押し出されるようにハナに立ったレッドアリオン(川須騎手)が先導すると、400m通過から1400m地点までに刻まれたラップが「11秒7-11秒5-11秒4-11秒2-10秒7-」。ひとハロンごとに少しずつペースアップとなり、この間の1000mは「56秒5」となった。あんまりペースを落とし過ぎては……。川須騎手のごく普通のペース判断が大正解。歩調を合わせた人気の差し馬はなし崩しになり、遅れてスパートしたマジェスティハーツが2着に突っ込むことになった。
古馬と、2歳馬のレース運びや体力は異なるものの、2歳馬でも少しだけ強気に早めにスパートして出ると、「直線までなだめて我慢」が当然になり過ぎているだけに、先行して2着に粘り込んだ2010年のマイネルラクリマ(1分34秒5)の再現はありえる。
新馬戦は
ヒプノティストに差されたが、2戦目の福島1800mを途中からハナに立って1分48秒5で圧勝した
タニセンビクトリーに期待する。
3馬身も離したビービーバーレルは、先週の新潟1600mを1分34秒2で4馬身差の圧勝だったから、あの未勝利戦のレースレベルは高かった。
引いたのは1番枠。この枠で下げては揉まれるのは避けられない。江田照男騎手だけに、積極策に出る可能性大と思える。先行すれば直線のコース選択も自由になる。自分のリズムで先行できれば1800mの内容から簡単には失速しないだろう。
祖母ビクトリーマッハ(父はリボー直系の平坦適性を持つバンブーアトラス)は、G1を7勝もしたテイエムオペラオーの半姉。
さらには、先週の札幌記念を制したディサイファの母の父は、いま世界で注目のドバウィの父ドバイミレニアムだが、この種牡馬のファミリーも同じ。
ドバイミレニアムの4代母ポーティジは、タニセンビクトリーの7代母(テイエムオペラオーの場合は5代母)でもある。
スローペースを利した直線一気型の素質馬を探すのが賢明と思えるが、パターン化しすぎている。あえて早めにスパートするはずの馬を狙いたい。