橋口弘師 今週はレッドアリオンで有終V/トレセン発秘話
◆橋口弘調教師「ここまできたら去年に続いてシリーズ優勝を狙いたい」
中京記念3着後は、関屋記念をパスして、今週のGIII京成杯AH(13日=中山芝外1600メートル)まで待っていたダローネガ。その理由を佐々木調教師は「新潟は坂がないし、直線も長いのでスローの瞬発力勝負になりやすい。それはこの馬にとって一番嫌な展開だから使いたくなかった。実際、そういうレースになったでしょ」と説明する。
確かに前後半3ハロン36秒4→33秒3は典型的な上がり勝負。仮にパワーでジワジワ押すタイプのダローネガが出走していたなら、決め手比べに屈していた可能性が高い。トレーナーの読みはズバリ当たったことになる。
ただし、ライバルとの力関係について「関屋記念を勝ったレッドアリオンは斤量が増えるし、そもそも夏場に重賞3戦はしんどい。ウチの馬は前走後にしっかり間隔を取った。そういう意味でもチャンスはあるよ」とした分析には、坂路野郎は“ちょっと待った”をかけたい。
実は過去2年のサマーマイルシリーズ(12年は優勝馬なし)は、13年フラガラッハ、14年クラレントと、3戦全てに参戦している馬に凱歌が上がっているのだ。いってみれば、シリーズに“皆勤”して盛り上げた馬に対するご褒美? となると当然、レッドアリオンは軽視できる馬ではない。
実は勝利を予感させる符合もある。レッドアリオンが今回のシリーズで刻んできた着順(中京記念8着→関屋記念1着)が、昨年優勝した兄でもあるクラレントと全く一緒なのだ。ということは京成杯AH1着でシリーズVというシナリオもすでに出来上がっている?
「兄と着順が一緒なのは君たち記者に聞いたことだけどね。ここまできたら去年に続いてシリーズ優勝を狙いたい」と橋口弘調教師もその気になっている。
現役最多の重賞勝ち鞍を誇る橋口弘キュウ舎は、サマーシリーズでも大活躍。前出サマーマイル優勝1回に、サマースプリント優勝2回(08、09年ともカノヤザクラ)の計3回はシリーズV最多だ。
来年2月いっぱいで定年となる橋口弘調教師。「最後の〜」のフレーズには「君たち記者が言っているだけで俺は気にしていない」と素っ気ないことは何度か伝えたが、“最後の小倉2歳S”をシュウジで決めた先週に続き、今週は“最後のサマーマイルシリーズ”をレッドアリオンVで締めくくる可能性は十分にある。
(栗東の坂路野郎・高岡功)