思われているより難しい力関係の混戦
新潟の8月の「関屋記念」とセットになる快速重賞。芝コースの整備の方向が変化しつつあるとはいえ、夏に張り替えた内側のコース半分の芝はいかにも走りやすそうに映るから、関屋記念以上の速い時計の決着になって不思議ない。ただし、開催の最初から外を回る差し馬に不利な芝でもない。
サマーマイルシリーズのここまでの勝ち馬「
スマートオリオン、
レッドアリオン」が、それぞれ57.5キロ、58キロのハンデを課せられた。とくに重い負担重量ではないが、中京記念の勝ち馬スマートオリオンは、関屋記念は同じ負担重量で、11着。一方の関屋記念の勝ち馬レッドアリオンは、今回より0.5キロ軽かった中京記念は、8着。ともにムラ馬ではないが、同じような相手の似たようなレースを、凡走と、快勝の両極端だから、意外に評価は難しい。もちろんそろってこのレースの有力馬だが、中京記念も、関屋記念も、案外レースレベルは高くないのではないか?という見方は成立する。ゴール前は大接戦で盛りがったが、そう考えると、古馬のマイル重賞らしい迫力は乏しかったかもしれない。ここは思われているより難しい力関係の混戦だろう。
3歳夏の小倉日経オープンを勝って以降、17連敗もする伸び悩みの期間があった
ダローネガ(父ダイワメジャー)が、心配のあった腰の不安を解消し、立ち直っている。今春、1600万を勝って約2年ぶりにオープンに返り咲くと、いきなり中京記念で前出スマートオリオンの0秒1差の3着。スランプを一気に脱してみせた。
もともとマイルには高い適性があり、2歳時の朝日杯FSは標準以上の1分34秒0(中山の大外16番枠で出負け)、3歳秋の富士Sでは、1分32秒5で18頭立ての4着(0秒1差)に食い込んでいる。立ち直ったとあれば、G3のハンデで55キロなら、力負けするランクではない。
早い時期に活躍して、4歳時、5歳時は不振だったから、仕上がりの早いスピード系の産駒を送ることの多い、いかにもダイワメジャー産駒の代表例の印象を与えるが、種牡馬ダイワメジャーは競走馬時代と同じで、初期に皐月賞を制して示した能力がすべてではなかったように、種牡馬としても5世代目の産駒をデビューさせた今年は、ただ勝ち馬が増えたというだけでなく、距離をこなす味のある産駒を送りはじめている。成長力を秘めた馬も多い。
それと呼応するように、スランプ気味だった6歳ダローネガが復活しているのである。ダイワメジャーは、5歳時に天皇賞・秋を勝ち、マイルCSは5歳時、6歳時に連勝している。種牡馬としての評価もこれからかなり変化することが予測される。これまでよりもっと成長力に富んだ産駒を送る先駆けが、ダローネガかもしれない。
あっさりがあれば、単騎マイペースも可能な
アルビアーノ(父ハーランズホリデイ)。NHKマイルCではそれまでの逃げ一手の単調な粘り込みとは異なり、時計以上の価値がある。穴馬は、すっかり見離されてしまったが、決して現在のデキは悪くない
エキストラエンド。乗り替わる吉田隼人騎手が、早めに馬群に突っ込む形をとると怖い。