阪神の外回りは大歓迎
秋のG1は、ひと叩きして本番。夏のオーバーホールの後だから、1戦して本番というのは、意外に難しい。
「ローズSと秋華賞」、「神戸新聞杯と菊花賞」が強く結びつく関係はほぼ同じだが、最近10年、牡馬は神戸新聞杯で「3着以内」に好走した馬だけが菊花賞の勝ち馬になっているのに対し、牝馬の場合は、ローズSが1800mになって8年、「1着、15着、2着、4着、1着、4着、2着」の馬が本番の秋華賞を制している。
直結してはいるが、結びつき方が微妙に異なるのである。これと関係するように、過去10年、オークス以来の出走でローズSを勝った馬は計9頭存在するが、それらのオークスでの成績は、「2、4、9、4、4、3、1、3、1着」である。近年は牝馬2冠馬など珍しくないが、トライアルなどでは意外に凡走する。ローズSが1800mになって8年、桜花賞馬はここで【2-0-1-2】であり、オークス馬もここでは【2-0-0-4】。ジェンティルドンナを含めての成績である。
ミッキークイーン中心は衆目一致でも、残念ながら彼女はジェンティルドンナ、ブエナビスタ級とは現在までの成績ではいえず、ブエナビスタとて秋華賞は負けたあと、降着の3着に沈んでいる。
立て直してきた
クイーンズリングに期待する。桜花賞は3番人気で4着、オークスは5番人気で9着止まりだが、マンハッタンカフェ産駒に時おり見られる死角(父と同様に3歳春にちょっと日程がきつくなると、馬体が細化してしまう)があり、馬体維持に苦心して、完調ではなかった。それだけではなく、桜花賞トライアルを直線一気で制したように、オークスは鞍上のデムーロ騎手からして、距離が長いのではないか?と、積極姿勢が取れないフシもあった。
夏のオーバーホールで立て直したクイーンズリングは、身体が戻っただけでなく、全体のバランスが春とは見違えるほど良くなったように映る。身体のラインがしなやかになったと同時に、切れる牝馬らしいバネが強化されている。
仕上がりは入念な調整だが、実は難しくない。3連勝でスタートしたように、使いつつのタイプではなく、むしろ使い込むと馬体細化などの心配が出てくる。リフレッシュに成功したあとは、新馬当時と同じように、たちまち好調期間になるはずである。
距離は、おそらくこの1800m前後が理想だろう。差す形をとっているから、阪神の外回りは大歓迎。切れが生きるだけでなく、おそらく緩い流れになるから、楽に追走できることになる。
ミッキークイーンの評価は下げられないが、妙味は、夏の上がり馬
タッチングスピーチと、春より切れにパンチを増した
アンドリエッテにある。