期間後に走るPOG人気馬をどう考えるか(須田鷹雄)
◆「なにも悪いところはないが、タイプとして夏を越してから」という馬に妙味が生まれつつある
タッチングスピーチがローズSに優勝した。一般のPOG期間には関係のない勝利だが、2歳時にはさんざん推した馬(赤本のおすすめ10頭では牝馬の最上位)なので、やはり嬉しい勝利ではある。
POGで人気になっていた馬が、後からひょっこり走ることはよくある。この馬のように重賞を勝つまではいかなくとも、未勝利で苦戦していた馬が3歳夏くらいにいきなり単穴をあけるようなケースもある。
POG媒体で推される馬というのはなにかしら良いところがあるわけで、能力発揮を阻害していた要因が取り除かれれば、走ってもおかしくないということだろう。
現3歳世代に4〜13世代を加えた全11世代に、3歳以上の中央平地重賞を勝った馬は572頭いる(9月18日現在・うち1頭はカク地馬)。
そのうち、3歳6月終了時点で未出走馬(取消等含む)が8頭。「中央で出走し未勝利」だった馬が41頭。中央1勝止まりだった馬は128頭いる。すべて合わせると全体の3割以上。現3歳世代についてはこれから比率が上がる。これはなかなか馬鹿にできない割合だ。
出走して0〜1勝だった169頭を厩舎別に見ると、以下のようになる。
音無厩舎 7頭
角居厩舎 6頭
池江、長浜、二ノ宮、橋田、藤原英 各4頭
これらの厩舎を「厩舎自体が晩成だ」としてPOG指名で忌避する発想もアリといえばアリだろう。しかしこの馬たちは最終的に重賞(検索条件ゆえに、すべてが3歳夏以降の重賞)を勝っている。そうなると、晩成馬に対し早い時期に無理をさせなかったか、良くない流れに陥っている馬に正しい方向性を示したか、どちらかということになる。それはまさに調教師としての腕でもある。
そう考えると、厩舎のスキルとしてこれらの厩舎を高く評価するべきなのではないだろうか。早い時期から動けるかどうかは血統からファンが類推したり、我々が取材で探ればよいことである。そちらのタイプの馬がこれらの厩舎に入った場合は、POG期間から能力を存分に発揮してくれるだろう。