東京競馬場春のG1戦が終了し、安藤勝騎手のほぼ一人舞台、その勢いたるや怖ろしいものがあります。それにひきかえ、武豊騎手の不運も気になりました。勝つか負けるかの明暗はつきものですから、それほど意味のあることではないにしろ、千両役者は、いつもそれらしいところにいてほしいと思うのも、人情ではないでしょうか。
どこで勢いが戻ってくるのか、しばらくは注目していこうと思っています。
とは言っても信頼の手綱が弱くなるということではなく、ユタカ・マジックは今の競馬の宝です。今年も、200勝目指して着々と勝利数を増やしていくことでしょう。
もうすぐはじまる新馬戦、とりあえずはそこに武豊の存在を示す場があります。去年から一走化になり、新馬戦の事情に変化がありました。デビュー戦に向けて万全の態勢でのぞむとき、任される手綱の重味は増してきます。そうした情況の中、新制度初年度は、圧倒的に彼は勝利していました。全体の勝利数の一割が新馬戦で占められていたと言ってもよく、今年、その勢いが再び見られるのではないかと思います。
幸先よく新馬戦を勝っていく馬たちの中で、いわゆるエリートコースを進んでいく馬たちの何頭かが、また武豊の手綱ということになるのでしょう。これは、ここ数年、毎年のように見られる現象です。そして、最後にどの馬を選ぶのかも、毎年話題になってきました。それがある限り、その牙城がゆらぐことはありません。
仕事請負人的存在の第一戦級の騎手たちをめぐって、今の競馬は動いています。昔のように、師弟関係が前面に出た競馬の時代ではなくなっています。それだけ厳しいともいえるでしょう。この情況の中、大きなタイトルを獲得するには、新馬戦の段階でしっかりと信用と信頼をかち得ておかねばならないのです。そういう新馬戦がやがて始まります。