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秋GIの開幕を告げるスプリンターズS、各ステップごとに有力馬を斬る!

  • 2015年10月02日(金) 18時00分


◆キーンランドC組は厳しいか

 絶対王者がいないだけに、馬券は難しい今年のスプリンターズS。人気のほうも、ある程度割れてくるのではないだろうか。

 まず最初に香港のリッチタペストリーだが、個人的にはちょっと厳しいと見ている。ドバイ(AW)やアメリカ(ダート)で結果を出すなど能力の絶対値はあるのだが、肝心の右回り芝6Fがいまひとつ。陣営が遠征・遠征で押してきているのも、地元の一線級と戦うのでは分が悪いという判断があるからではないかと思う。

 最も重要なステップレースであるセントウルSはアクティブミノルが制したが、6Fで後半のほうが速いというのはいかにも展開に恵まれた印象。今回はハクサンムーンもハナにこだわってきそうだし、前走のようにはいかないのではないだろうか。ハクサンムーンも、悲願のタイトルを手にするにはそれしか選択肢はないと思う。

 セントウルS2着のウリウリは、完全にこのカテゴリになじんだ印象。路面を問わない好走を続けているあたり地力が強化されていることを感じるし、今回もかなり有力な1頭と考えられる。

 僚馬ストレイトガールもチャンスは十分。GIでの好走歴も豊富だし、前走の内容は格上タイプの試運転としては十分な内容。ウリウリともども道中の位置取りと踏むコース次第でリスクはあるが、逆に展開や進路が味方すればあっさりの優勝までありうる。

 キーンランドC組は、正直当時のメンバーレベルが高くはないというのが私個人の見立てだ。また、当時の上位馬はある程度時計のかかる馬場のほうが良いタイプばかり。日曜の馬場がどうなるかはもちろんこの原稿を書いている時点では確かでないが、タイムが速くなるとウキヨノカゼティーハーフも厳しいのではないだろうか。

 北九州記念組ではベルカントが上位人気を窺いそうだ。着順を含めた臨戦過程は理想に近いもの。位置取り的にも前寄りを取れる馬なので、差し遅れのリスクはない。問題は相手関係で、この馬が連勝してきた2レースはGI上位常連が不在だった。既に何頭か触れた格上タイプが揃って好走してしまうと、出番なしということも考えられる。

 格上タイプで臨戦過程の評価が難しいのがミッキーアイル。春GIからの休み明けでも過去の例を見れば馬券に絡むことは十分可能。ただ、1着を取りきるということでいうと、使われている馬のほうが有利。馬券的には2,3着だろうか。

 最後に、個別の馬ではなく展開の話。今回出走する馬は脚質が確立されているというか、どの位置で競馬をするか分かりやすいタイプが多い。馬券を組む場合には、そのグループ分けを意識して買うとよいのではないかと思う。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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