スマートフォン版へ

本当はスプリンターである可能性/スプリンターズS

  • 2015年10月03日(土) 18時00分


今回は不安が出ないレースではないか

 今開催の芝は読みにくいが、関東地方の天候の推移はほとんど先週と同じで、とくに千葉県の中山競馬場の近くは週後半にも雨はほとんど降っていない。

 週初めの29日(火)に芝刈りも行われている。Cコースに移った先週の芝は最初の2週より少し時計が速かった印象もあり、インを通った先行馬の好走もあった。先週26日(土)の芝1200mのセプテンバーSは「33秒3-34秒6」。前半があまり速くないバランスで「1分07秒9」。軽ハンデ馬ばかりが上位を占め、ヤサカオディール=カシノワルツは、夏の新潟、小倉で記録した1200mの時計を短縮している。

 ほとんど芝状態が同じと思えるスプリンターズSは、ハクサンムーンもそのすぐ隣りのアクティブミノルも「行きたい」と宣言しているから、推定前後半「32秒8-34秒4」くらいの厳しいバランスで、「1分07秒2前後」の速い時計になる可能性がある。

 実際、そこまでタイムが速くなると、速い流れを追走して持ちタイムを短縮できる馬は何頭も出現するが、オープン馬は推測できる要素にことかかないから、結果として「1分07秒2」前後で乗り切ることができそうもない馬は通用しないと軽視できる。条件戦では無意味だが、古馬オープンの速い時計の1200mに限り、今回、推測で「1分07秒2前後」で乗り切れる予感のある馬を中心にする手法にしたい。

 1200mの経験は渋馬場の高松宮記念の1回だけ。走破タイムは1分08秒6にとどまるミッキーアイルに期待する。当時の馬場差が約1秒はあったと思えること。だから、もともと1分07秒台中盤なら平気。超高速馬場に恵まれたとはいえ、2歳時に1600mを1分32秒3で楽勝したスピード能力を秘めている馬であること。ただし、スタミナ(底力)と爆発力に乏しい。平均ペースの高速馬場や、弱敵相手の緩い流れなら1600mをNHKマイルCのようにそれなりの時計で我慢できるが、トップクラスのマイラー相手のマイルG1では「16、13、15」着。スタミナ(底力)不足が露呈してしまう。

 だが、さすがにこの距離ならスタミナ不足はなく、高松宮記念でもゴール寸前、抜け出したエアロヴェロシティ、止まりかけたハクサンムーンを、もう一度脚を使って追い詰めていたところが注目点。この馬、1600mで良績を残してきたが、本当はスプリンターの可能性が高いのではないか。

 速いペースで飛ばすハクサンムーン、アクティブミノルを射程にいれて追走する形こそベスト。なだめて進む際の折り合いという「目に見えないロス」が、底力に欠けるミッキーアイルの最大の死角であり、今回はその不安がほとんど出ないレースではないか、と考えたい。マイルのG1では大きな壁に当たっているスピード系の同馬が、スプリントレースで大変身することを期待したい。

 人気馬であまり嫌う馬はいないが、置かれる馬は時計勝負で最初から不利な立場に立つ危険がある。デュランダルのようなレースは、めったにできるものではない。

 人気のないところでは、今回は不振を脱したと思えるコパノリチャードは侮れない。昨年、不良馬場の高松宮記念を1分12秒2で圧勝のあと、一転、58キロの京王杯SCを、太め残りの馬体で1000m通過「56秒0」の逃げ。1200m通過1分07秒4の地点もまだ先頭だった。まともなら1200mを1分07秒前後で乗り切って不思議ないスピード能力の片鱗をみせている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング