スマートフォン版へ

混戦マイルCS、モーリス・フィエロら有力馬を徹底分析!

  • 2015年11月20日(金) 18時00分


◆面白い馬だが軸にはしづらいヴァンセンヌ

 マイルの王者モーリスがぶっつけでの参戦になる一方、中距離からイスラボニータが転身。馬券の対象としてはにわかに活気づいてきたマイルCSだ。

 そのモーリスは臨戦過程をかなり不安視されているが、馬体重だけをとれば帳尻は合っている。今週の「回収率向上作戦」で書いたようにぶっつけでのGI参戦は容易でないが、これだけのレベルの馬がぶっつけで臨むケース自体が少なかったのも事実。勝ち切れるかどうかはともかくとして、馬券のどこかには組み込む必要があると思う。

 イスラボニータの天皇賞秋→マイルCSは、使い方としては理想的な形。個人的にもシルシ上位に入れるつもりだが、距離短縮+京都というリスクをファンが軽視している雰囲気もある。前半の流れもここ2走とは全く違うし、戸惑わないかは若干心配だ。

 ヴァンセンヌも天皇賞秋組。ここ2走はこの馬には全く合わない流れ。人気を落としてのマイル戦戻りは魅力的だ。外回りコースなので一か八かのできる最内枠も興味深いところだが、全く捌けないで終わる可能性もある。面白い馬だが軸にはしづらい、というところだ。

 毎日王冠→マイルCSも使い方としては悪くない。前年の覇者ダノンシャークにとって前走は割り切った叩き台だろうし、とにかく京都のマイル戦は合う。7歳といっても極端にパフォーマンスを落としているわけではないし、引き続き評価していく必要がある。

 その毎日王冠からカシオペアS1着を挟んでの参戦がトーセンスターダム。マイル戦ははじめてだが、1800mでの成績を見れば全くこなせないということもないだろう。ヒモ穴候補にしてみたい。

 フィエロは昨年より良いムードで本番を迎えた。京都ではスベリ知らずの馬だし、やはり評価せざるをえない。その一方で重賞で勝ち切れない点だけはどうにもならず、馬券上の扱い方が難しい。

 アルビアーノは前走でいままでと違う形の競馬に成功した。斤量の絶対値に差があるのは魅力的だが、3歳馬はファンの期待ほどここで走らない面もある。スワンS組というのも過剰人気になりがちな要素なので、扱いは慎重に考えたい。

 サトノアラジンは今シーズンひと皮むけた印象がある。血統的な期待から上位人気にもなりそうだ。決め手のあるディープインパクト産駒はこのレースに向くが、この馬については京都経験が菊花賞のみで、ファンにとってのヒントが少ない。個人的な見解だが、展開待ちの脚質、反応そのものが鋭いタイプではないことを考えると、勝ち切るというよりは2,3着を前提に考えたほうがよいのではと思う。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング