ルドルフもシービーも勝てなかった…競馬場が静まりかえった後、勝ったのは日本馬だと気付き大歓声/トレセン発秘話
◆西浦調教師「“これで勝てなかったら日本馬は、ずっと勝てない”とまで言われていたからね」
果たして、どれだけの大歓声だったのだろうか?
1984年、日本馬として初めてジャパンカップを勝ったカツラギエースに騎乗した西浦現調教師によれば、東京競馬場のスタンドから2度、歓声が巻き起こったという。
「あの年はミスターシービーとシンボリルドルフという2頭の3冠馬が出走していて、“これで勝てなかったら日本馬は、ずっと勝てない”とまで言われていたからね。直線でファンの人たちからルドルフとシービーに対して、すごい歓声が起こったんだけど、ゴールして結局2頭とも勝てなかったと分かった瞬間は、スタンドがシーンと静まり返ったんだ。で、“勝ったのは何だ”ってなって、日本のカツラギエースだと分かった時、また歓声が起きたんだよ」
第1回ジャパンCは外国馬が1〜4着を独占し、そのすべてが日本レコードを更新。「日本の競馬関係者は、みんなショックを受けた」(西浦師)というが、その4年後に日本馬カツラギエースが初めて勝ち、そして現在は日本馬の独占状態…。このJCの変遷こそが、そのまま日本馬が力をつけてきた証しと言っていい。
「世界に通用する馬づくり」という創設当初の理念はすでに達成され、レースの意義が問われる事態にまで陥っている近年のJC。もはやナショナリズムをかきたてるようなレースではなくなってしまったが、東京芝2400メートルというチャンピオンコースで行われる、日本馬を主とした頂上決戦と割り切れば、興味深いGIであることに変わりはない。
今年も外国馬のメンツを見ると、日本馬中心の戦いになるのは間違いない。かつ古馬勢に、そこまで強烈な馬がいないことを考えれば、53キロで出走できる3歳牝馬2冠馬ミッキークイーンが、3年前のジェンティルドンナの再現をしてもおかしくはない…と現時点では考えている坂路野郎である。
(栗東の坂路野郎・高岡功)