スローなら3000m以上の距離での成績はそれほど重要ではない
芝コンディションの設定の違いもあるが、菊花賞3000mの勝ちタイムは、20年前よりだいたい「3〜4秒」速くなった。3200mの天皇賞・春の勝ち時計もだいたい同様で、20年前より「3〜4秒」速くなっている。
「長距離戦こそ、レベルの違いは時計に出る」と考えられているが、ステイヤーズSのレコードは1994年にエアダブリン(父トニービン。ダンスインザダークの半兄)が記録した「3分41秒6」であり、最近数年の勝ちタイムは「3分45〜47秒台」が一般的である。これは約30年前とほとんど同じ走破タイムになる。
G2のステイヤーズSにはG1級が出走することはめったになく、マイル〜中距離指向が進んだ現在、ステイヤーズSには出てこないAクラスの馬はともかく、全体に長距離部門の進展(変化)はほとんどない。また、これには、3000m級になると著しい「スローペース」が関係するだろう。昨年は、3600mを3等分すると「1分16秒5-1分19秒1-1分12秒2」=3分47秒8だった。
いかに途中までスローとはいえ、後半はスタミナがなければ勝ち負けに加わることはできないが、2400〜2600mをそれなりの時計で乗り切れるスタミナ能力があれば、3000m以上の距離での成績はそれほど重要ではないともいえる。典型的なステイヤーはいないからである。
R.ムーア騎手の乗る目下3連勝中の上がり馬
アルバート(父アドマイヤドン)中心。2400で2連勝している。ステイヤーという血統背景ではないが、母フォルクローレは、ディープインパクトの日本ダービー2400mを2着したインティライミの半姉。その父ダンスインザダーク(菊花賞馬)は、前出エアダブリンの半弟である。
アドマイヤドンの父ティンバーカントリーが、種牡馬としてドバイでも供用されたのは、その母が名牝フォールアスペンだから。ティンバーカントリーの半姉コロラドダンサーは、泣く仔も黙るドバイミレニアム(産駒ドバウィ)の母である。
ドバイミレニアム、ドバウィ父子の大活躍は知られ、ジャパンCにはイラプト(父ドバウィ)が来た。日曜のチャンピオンズCには、ガンピット(父ドバウィ)が挑戦してきた。今日(土曜日)の金鯱賞(中京)の人気馬ディサイファの母は、数少ないドバイミレニアム直仔である。ムーア騎手は今春、ドバウィの代表産駒のアルカジームに乗ってG2を勝っている。
スローで楽に先行できそうな
メイショウカドマツ(父ダイワメジャー)が強敵だが、穴馬は状態が良くなり、今回はブリンカー装着の
マイネルメダリスト(父ステイゴールド)か。2400m以上で5勝もし、昨年の目黒記念を好タイムで勝っている。