1勝馬が大活躍!! ただ…例年なら6〜7頭今年の「枠」は1頭だけ/トレセン発秘話
◆今年の阪神JFは“脈あり話”が多くの陣営から出てくる混戦模様
阪神JFといえば、2006年ウオッカ→07年トールポピー→08年ブエナビスタの3連勝ほか、11年にもジョワドヴィーヴルが優勝するなど、抽選をくぐり抜けた1勝馬が大いに活躍してきた。それも例年なら6〜7頭は1勝馬が抽選で入る枠があったからこそなのだが、今年に限っては様相が異なる。
先週の万両賞を勝って新たに2勝馬となったアンシエルワープが「さすがに連闘はかわいそうだし、十中八九使わないと思う」(小崎調教師)と回避をほぼ決めているため、出走枠はかろうじてできそうだが、登録馬だけでいえば900万円以上の賞金を持っている馬でフルゲート18頭が埋まってしまう状況だ。
だからといって、例年よりハイレベルかといえばそうでもなく、「今年はそこまで強い馬もいないし、ウチの馬も乗り方ひとつでチャンスはある」とやる気満々のウインミレーユの梅田調教師に代表される、いわゆる“脈あり話”が多くの陣営から出てくる混戦模様である。
むしろ、白菊賞で高い支持を集めながらも、賞金加算に失敗して、ここへの出走をあきらめたワントゥワン、サプルマインド、カイザーバルなど、現時点ではまだ1勝しか挙げていない中に、素質馬が多く埋もれてしまっている。これが2歳戦の充実をうたい、レースを増やしているJRAの方策の影響だとするなら、なんとも皮肉なことだが…。
とはいえ、今年もわずかな隙間を狙って登録してきた1勝馬の中に、キラリと光る素質馬がいるにはいる。
「本当にこの馬はすごいよ。追い切りで見せる反応の速さが他の馬とは違うし、だからといって、収まりがつかなくなるようなこともなく、鞍上の指示には従順。かなりの能力を持っている」
木原調教師が期待のほどを隠さない、このペプチドサプルは2戦目のアルテミスSで4着に敗れたとはいえ、スタートで後手に回りながら、勝ち馬に次ぐ上がり33秒6を駆使するなど、十分な存在感を放っており、今年のメンバーなら「頭」まで狙える好素材だ。
「抽選で出られるのは1頭だけなんでしょ? ウチの厩舎はただでさえ抽選に弱いからね。1頭だけ除外ってケースですらウチの馬が何回除外されたことか…」と抽選突破にはやけに弱気なトレーナーだが、逆にこのわずかな“スペース”をすり抜けてくるようなら…。ペプチドサプルの本命指名まで考えている坂路野郎である。
(栗東の坂路野郎・高岡功)