「可能性を信じ投票する」幸運の女神はほほ笑むか ジュエラー/吉田竜作マル秘週報
果たして「1頭枠」はどの馬に与えられることになるのか
5日の阪神未勝利戦でリボンフラワー(牝・池江)が初勝利を挙げた。ご存じの方も多いだろう。オーナーは管理する池江調教師の実父にして、この馬の父でもあるディープインパクトを手がけた名伯楽・池江泰郎元調教師。歴史に名を残すほどの名トレーナーでも、立場の異なる“初勝利”は感慨深いものだったようだ。
「時間がかかりましたね。勝つのは大変だと改めて思いました。これでようやく馬主の仲間入りができた感じかな。まず1勝できて本当に良かった」と池江泰郎オーナー。
勝利ゼッケンを河合助手から手渡された時は一瞬戸惑うようなしぐさを見せ、「いつも渡すほうだったからね」と照れ笑い。何ともほほ笑ましいひとコマだった。オーナーだけに“権限”はあるが、次走については「調教師と相談してからですね」。このあたりは、やはりすべてを知り尽くしたホースマン。息子の池江泰寿調教師とともに、馬に最も合った調整、レース選択をしていくことになるのだろう。
「1勝」はかくも重い。当然、舞台が大きくなればなるほど、サラブレッドの命運を左右する。今年の阪神JFは賞金400万円の1勝馬の枠が1頭になる見込み。それでも「可能性を信じて投票する予定です」とはワンカラットの半妹ジュエラーをエントリーした藤岡厩舎の仲田助手。これまで“抽選突破組”がこのレースの歴史を彩ってきた。果たして「1頭枠」はどの馬に与えられることになるのか。
一方で、今年の阪神JFは“牝馬マイスター”松田博調教師にとって最後の2歳GIとなる。ファンタジーSでアドマイヤリードがまさかの8着に敗れた時は「今年はダメか」と思ってしまったが、次走の白菊賞を勝って出走を確定させた。
「今思えば、ファンタジーSは久々がこたえたのだろうし、外を回したのも良くなかったかな。白菊賞では内の狭いところを割ってきたようにいい根性…というか、根性だけで走っている馬。それをここでも生かせるかどうか」と松田博調教師は意気込みを語る。
もちろん、強い意思を持って臨むのは老雄だけではない。ファンタジーS3着をステップにして臨むブランボヌールを担当する佐々木助手は「この馬のお母さんも担当していたのですが、GIはそのルシュクル以来(08年阪神JF11着、09年桜花賞15着)なんです」。母娘を同じ担当者がGIに送り出すケースはそうあることではない。
「前走は久々でしたから。やっぱり一度使ってしっかりしてきました。1週前追い切りに乗ってくれた岩田騎手も『言うことないわ。来週やれば大丈夫』って。この馬を買ってくれているようですし、今度は楽しみです」と母で果たせなかったGI制覇を狙っている。
様々な思いが交錯する2歳女王決定戦。果たして、どのようなドラマが待ち受けているのか。華麗な若き乙女たちの走りに注目してもらいたい。