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エアスピネルのリスク、リオンディーズの問題は?朝日杯FSを斬る!

  • 2015年12月18日(金) 18時00分


◆前走オープン特別組は苦戦

 阪神に移ってから2回目の朝日杯FS。コースがらみのデータは蓄積されていないが、中山時代の傾向を含めて考えると、前走オープン特別組は苦戦、前走重賞組でもある程度好走してくることが必要、前走条件戦組は人気で勝ってくることが必要といった条件が挙げられる。

 人気はエアスピネルだろう。デイリー杯の内容は完勝かつ圧勝。馬場と前半のペースを考えると時計も悪くない。阪神もデビュー戦でこなしている。

 印象としてはGI級の強さであることに間違いはないが、強すぎて2戦とも好位抜け出しの形になってしまったことが唯一のリスク面か。このコースの2歳戦は差し決着も多いし、この馬自身多頭数を中団以降から差す形になったときどうなるかは未知数だ。

 デイリー杯2着のシュウジは溜め逃げがききすぎて一気に突き放された印象もあった。展開次第ではもっとやれると思うし1600mは守備範囲。前から押し切る競馬はこの条件だと難しいのだが、先週メジャーエンブレムがやったばかりでもある。中盤少しペースを落としつつ、かといって上がり勝負にはしないというサジ加減が好走条件かと見る。

 イモータルはサウジアラビアロイヤルカップで2着だったがハナ差の中でも小差と言える2着。今回人気はエアスピネルに譲るだろうが、差しの競馬を経験してきたことは強みだ。マンハッタンカフェはこのコースと相性の良い種牡馬の1頭で、特に勝率の高さは他種牡馬をも凌ぐ。

 ボールライトニングは前走が外枠を克服しての優勝。今回も出走している当時の2,3着馬も本馬同様好位に構えていた馬たちで、それでいながら1馬身を超える着差をつけてきた。京王杯組の中では一歩抜けていると見る。

 ただ、京王杯は1400mでスローという内容で、最速ラップが6ハロン目という特殊な競馬。今年ほど極端ではなかったが類似事例の2012年は、勝ったエーシントップが初距離の朝日杯で2番人気8着と負けている。極端な前傾ラップになるとリスクが高まるので、前半緩やかな流れを望みたいところだ。

 ショウナンライズのくるみ賞も似た内容の競馬で、道中位置も似ている。さらにボールライトニングとこの馬はともにダイワメジャー産駒。来るときも来ないときも2頭セットというイメージで馬券を組むとよいのでないだろうか。

 例年は出走数自体が少ない1戦1勝組から、今年はリオンディーズという大物が出走してきた。血統のポテンシャルもあるし、前走の2,3着馬は2戦目で勝ちあがっている。能力の高さはうかがえるが、問題は距離短縮での1600m。前走がごりごりのスローペースだっただけに、流れに対応できるかが問題だろう。ただ乗り替わるM.デムーロ騎手はこのコースとかなり相性が良く、全く無視もできないのが悩みどころだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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