日経賞の再現を
発売当初から有力馬の人気が接近して、大接戦を告げている。有馬記念は、直前にショウナンパンドラが回避したように、他のG1にはない負の要素を持っている。「まだ、好調をキープしている」。陣営のそんなコメントも珍しくないように、ビッグレースを戦って好成績を残した馬には、まだ大丈夫(そろそろピーク過ぎも否定できない)のことが多い。大目標はここではなかったケースがかなりある。
今年の最大ポイントは、投票1位の
ゴールドシップがどんなレースを展開してくれるのか、これがだれにもわからない。過去の1着、3着、3着は、順に「13番、14番、14番」枠だから外枠は大丈夫だが、最近の内容からおそらくダッシュは鈍いだろう。内田騎手も最初から気合を入れたりはしない。どこでピッチを上げてスパートするかがレース全体の流れに大きく関係する。
もうひとつのポイントは、天皇賞・秋→ジャパンCの主要路線も、菊花賞組も、エリザベス女王杯組も、時計を要する馬場に移行していることを考慮しても、あまりレベルが高くないのではないか?全能力を発揮してくれた時のゴールドシップは別に、オルフェーヴル、ジェンティルドンナ、ブエナビスタなどが核となっていた3-4年前とは、中・長距離路線は怪しい勢力図の期間だろう。
レース序盤は、
リアファルを中心に先行馬のペースはスローか。ゴールドシップは、流れの緩む2コーナーあたりで一度順位を上げるか、3コーナー手前からロングスパートに出るか、直線勝負はありえないから、途中で動く可能性が高い。
ゴールドシップが動くと、連れて全体の流れも動く。もし、3コーナー手前から一気に動くようだと、有馬記念がもっとも難しく展開するパターンに突入する。有馬記念に流れの「定型」はなく、だから年によって5秒も6秒も勝ち時計が変化するが、有力馬が3コーナー手前あたりからスパートする流れがもっとも危険。小回りに見えて中山の3コーナーの入り口は残り800m標識の場所。他場よりゴールまで距離がある。ここからスパートすると、オープン馬といえども最後の坂で末が持たない。08年にダイワスカーレットが上がり36秒4も要しながら、粘り込み勝ちしたが、好位スパート、中団スパートのグループは全滅。最後方にいたアドマイヤモナーク、同じ位置にいたドリームジャーニーが、2着、4着に突っ込んだ波乱パターンである。
ゴールドシップの出方しだいだが、今年はその時と同様、後方から待って突っ込んでくる馬の台頭がある気がする。内枠を引いた
アドマイヤデウスは、2分30秒2のレースレコードで乗り切った日経賞の再現がある。デキは少しも悪くない。凡走しているから、活力は保たれている。有馬記念が2分30秒台で決着したことは、最近10年で1回しかない。得意のインに突っ込みたい。他馬の早いスパートを見ながら、ひと呼吸待ちそうな戸崎騎手の
ルージュバックも怖い(オークスのレベルは高い)。大穴はタメて進むこと必至の
ヒットザターゲット(小牧騎手)か。