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年が明けて一気に動き出した感のあるドバイ戦線

  • 2016年01月13日(水) 12時00分


戦線復帰したカリフォルニアクロームもドバイ遠征を計画

 2016年最初のコラムをお届けするにあたり、大変遅ればせではございますが、新年のご挨拶をさせていただきます。

 本年秋には待望の海外馬券発売が始まると言われている中、日本の競馬ファンの皆さんが国外の競馬に目を向けてくださる機会が増えることが予測されています。そんな皆様に、海外の競馬をより楽しんでいただけるよう、持っている情報網を最大限に活かして、面白くて役に立つ話題をお届けすべく、さらなる精進をする所存です。本年も当コラムをご愛顧いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

◇◇◇


 例年通り、日本の競走馬が国外の精鋭たちと対戦する最初の機会は、今年も3月のドバイになることがほぼ確実である。

 今年は3月26日が開催日となるドバイワールドCナイトまで2か月半ほどとなり、「春の目標はドバイ」という声は日本の大物の中からも出始めているが、海外からもドバイ参戦を目論む馬たちの動向が続々と伝わってきている。

 1月9日に北米西海岸・カリフォルニア州のサンタアニタ競馬場で行われた、古馬の重賞サンパスカルS(d8.5F)は、G2戦にも関わらず世界中の注目を集めることになった。14年の全米年度代表馬カリフォルニアクローム(牡5)が、ここで9か月半振りの戦線復帰を果たしたのである。

 2歳時はカリフォルニア産馬限定の特別で勝ったり負けたりだった同馬が、3歳を迎えると馬が一変し、破竹の6連勝でG1ケンタッキーダービー(d10F)、G1プリークネスS(d9.5F)の2冠を制覇。G1ベルモントS(d12F)では負けて3冠を逸し、秋の大一番G1BCクラシック(d10F)でも3着に敗れて一旦は株を落としたが、3歳最終戦に芝のG1ハリウッドダービー(芝9F)を選択。ここを快勝したことが決め手となって、年度代表馬のタイトルを手にすることになった。

 4歳緒戦のG2サンアントニオH(d9F)で、実力ナンバーワンのシェアドビリーフの2着に敗れた後、この年から路面がダートに戻ったG1ドバイワールドC(d2000m)に参戦。プリンスビショップの2着に惜敗した後、ドバイからイギリスに転戦し、ロイヤルアスコットのG1プリンスオヴウェールズS(芝10F)を目標に調整されたが、レース直前に蹄を傷めて出走を取り消し、帰国して治療に専念していた。

 7頭立てとなったG2サンパスカルS。出走予定だった、G1ロスアラミトスフューチュリティ(d8.5F)、G1サンタアニタダービー(d9F)を含む重賞5勝の実力馬ドルトムント(牡4)が、体勢整わずに回避し、かなり相手が軽くなったこともあって、カリフォルニアクロームはオッズ1.6倍の圧倒的1番人気に推された。4番枠から好スタートを切ったカリフォルニアクロームは、道中2番手で競馬を進めると、3〜4コーナー中間で早くも先頭へ。14年のG2チャールズタウンクラシック(d9F)勝ち馬で、G1での入着が3回あるインペラティヴ(セン6)の追撃を1.1/4馬身退け、カリフォルニアクロームは復帰戦を白星で飾ることになった。

 皆様ご存知のように、37年ぶりの3冠馬アメリカンフェイローが昨年一杯で現役を退き、実力ナンバーワンのシェアドビリーフが12月に疝痛のため非業の死を遂げているだけに、カリフォルニアクロームの復活はファンにとっても嬉しい限りである。今後は、昨年に続いてのドバイ遠征が計画されており、1月21日には現地入りして、スーパーサタデーの前哨戦を使うプランが俎上に乗せられている。

 同じ1月9日、北米東海岸・フロリダ州のガルフストリームパーク競馬場で行われた、古馬のG3ハルズホープS(d8F)に登場したのが、3年連続のドバイ遠征を目論んでいるムシャウィッシュ(牡6、父メダグリアドロー)だった。

 4歳春までは仏国のミケル・デルザングル厩舎に所属し、3歳時にはG1仏ダービー(芝2100m)4着、G1セントジェームスパレスS(芝8F)4着などの成績を残しているムシャウィッシュ。4歳春に1回目のドバイ遠征をし、G2ザビールマイル(芝1600m)を制した後、G1ドバイデューティフリー(芝1800m)がジャスタウェイの4着だった。その後、北米のトッド・プレッチャー厩舎に移籍し、5歳春はG3フォートロ−ダーデイルS(芝8.5F),G1ガルフストリームパークターフH(芝9F)を連勝して臨んだG1ドバイターフ(芝1800m)が、ソロウの3着だった。昨年秋のG1BCマイル(芝8F)で4着となった後、アケダクトのG1シガーマイル(d8F)で初めてダートのレースに挑戦。ここで勝ち馬トナリストから1.1/4馬身差の4着と悪くない競馬をして臨んだのが、9日のG3ハルズホープSだった。

 2.8倍の1番人気に推されたのが、ダート路線の重賞3勝馬で、昨秋のG1BCダートマイル(d8F)5着のヴァリッド(セン6)。G1シガーマイル3着のマットルー(セン6)がオッズ2.9倍と僅差の2番人気に推され、ムシャウィッシュはオッズ3.2倍の3番人気に甘んじた。

 出走馬5頭がひと塊になった馬群の最後方で3コーナーに突入したムシャウィッシュは、そこから抜群の手応えで進出。直線では逃げたヴァリッドとの叩き合いになったが、外に寄れる悪癖を見せながらも首差で競り勝ち、ダートにおける初重賞を手中にしている。管理するT・プレッチャー師はレース後、同馬が3度目のドバイ遠征を計画していることを表明。ただし、芝のレースを目指すのか、ダートのレースに照準を絞るかは、今後関係者と協議した上で結論を出すとしている。

 一方、ドバイワールドCのお膝元であるメイダンでは、1月7日にドバイワールドCカーニヴァルが開幕。初日のメイン競走であるG2アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド1(d1600m)は、英国のオッズで4倍の1番人気に推されたルバーナーディン(牡7)が優勝し、2度目の重賞制覇を果たした。同馬は今後、スーパーサタデーのG3バージナハールからワールドCナイトのG2ゴドルフィンマイルと、ダート1600m路線を歩む予定だ。

 年が明けて一気に動き出した感のあるドバイ戦線。ここを目標とする精鋭たちが、それぞれの国で展開する戦いを、フォローしていきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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