今年のレベルは決して低くはないはず
3歳春のクラシックを展望する路線は、2歳後半の重賞レースが増えたこと、朝日杯FSのコースが変わり2000mのホープフルS絡みの変更が行われたことなどにより、とくに男馬の選択肢が変わり、それぞれの重賞レースに少なからず変化があるかもしれない。
京成杯が2000mに変わったのは、1999年からのこと。勝ったオースミブライトは、やがて4月の皐月賞でテイエムオペラオー、ナリタトップロードと大接戦の写真判定に持ち込み、惜しい2着に好走した。
3カ月のちとはいえ、皐月賞と同じ中山2000mの京成杯の距離変更は大きな意味を持ち、レースの評価は一気に高まりそうに思えた。だが、それは圧倒的な優位を誇る関西馬の有力馬の遠征があってこそ。もともと寒い1月は無理をする時期ではなく、京成杯は重要なレースにはならなかった。
オースミブライトのあと、05年アドマイヤジャパン、07年サンツェッペリン、08年マイネルチャールズ、10年エイシンフラッシュの4頭が京成杯の勝ち馬として皐月賞で、順に3着、2着、3着、3着しているが、1999年以降の17年間、1月の京成杯出走馬は勝ち馬5頭を中心に、調子を上げて皐月賞に挑戦しても、まだ1頭も勝った記録がないのである。
クラシック路線の重賞として、本番と同じコースの、同じ2000mのレースから勝ち馬が出現していないのは、鬼門はいい過ぎとしても、きわめて好ましくない記録であり、縁起の良くないステップレースとなりつつある。一連のレースのコース変更や、距離変更、グレード変更などの波に乗って、本番の快走馬を送るレースに変わりたい。
今年はホープフルS組も、東京スポーツ杯2歳S組もいる。全体レベルは決して低くはないはずである。
ムーア騎手が2戦連続して乗り、ディープインパクト産駒ながら控えて切れ味勝負に出るより、勝負どころから一気にスパートした方が能力全開に結びつくことを示した気がする、
ウムブルフに期待したい。
あまり切れるタイプではないのは、おそらく牝系ファミリーが、10年の勝ち馬エイシンフラッシュと同じようにドイツ血統だからだろう。日本に知られる著名馬はいないが、ウムブルフの祖母ウンガリンの全兄にウンガロ(父グーファリク)という活躍馬がいた。
ウンガロは、98年のジャパンカップにドイツ代表として来日し、エルコンドルパサー、エアグルーヴ、スペシャルウィークの12着止まりだが、同世代のステイゴールドとは差がなかった。
ベリー騎手に合うと思える。鋭くは切れないだろうが、欧州型らしく、スパート態勢に入ると速い脚が長く使えるパワー、底力はあるはずである。この時期の中山の芝は合っている。侮りがたい底力を秘める伏兵として路線に乗りたい。相手の妙味は、最後に突っ込む
ブレイブスマッシュか。