厩舎に看板馬が出ると他の馬たちも活躍する 競馬界の不思議な法則/トレセン発秘話
◆梅田厩舎の西原助手「厩舎に看板馬が出てくると、それに引っ張られて他の馬も活躍するんですよね」
梅田厩舎は昨年、JRA30勝を達成。前年の21勝を9勝も上回る“厩舎最多勝”を更新した。
「ハナ差の接戦を制したことが確か3回ぐらいあった。普通なら負けているようなレースでも不思議と僅差で勝つんだ。それにこんな馬が勝つのかというケースまであって(笑)。勢いがある時は全てがうまくいくものなんだよな」
快進撃を振り返る梅田調教師の言葉に呼応した厩舎の攻め専、西原助手は「厩舎に看板馬が出てくると、それに引っ張られて他の馬も活躍するんですよね」と補足した。
昨年、梅田厩舎に中央初GI、それもクラシックの桜花賞というビッグタイトルをもたらしたレッツゴードンキの存在はやはり大きかったのだろう。この馬の頑張りに刺激され、周りにも活気が出たことで、厩舎全体が勢いに乗ることができたのだ。この手の話はどこの厩舎でもよく聞く話。競馬サークルは科学では説明できない“世にも奇妙な物語”にあふれている。
羽月厩舎にはあの馬がやっと帰ってきた。GII東海S(24日=中京ダ1800メートル)で復帰するインカンテーションだ。
昨年5月の平安Sを勝った後、無念のアクシデント(左後肢第1指骨骨折)に見舞われ、戦線離脱を余儀なくされたが、厩舎の看板馬さえ戻ってくれば厩舎全体に勢いがつくのは間違いない。
実はすでにその兆しは見えている。正月早々、京都の3歳500万下を単勝13番人気のコージェントが快勝し、先週はマルカメテオが中京の古馬500万下で1番人気に応え、庄内川特別では16番人気のシャイニーサンが2着に激走した。その走りはまるで看板馬の復帰を前に、厩舎全体が刺激を受けたかのようだ。
「いいころのインカンテーションなら、このメンバーなら負けられないところですが、まだ100%ではないですからね。次のフェブラリーSにつながる競馬を」
羽月調教師の感触からも、骨折休養明けの今回は割り引きが必要なのは確かだが、それでも絶対能力の高さで格好はつけてくれるはず。そしてインカンテーションが順調に今年一年を走り切ることが、羽月厩舎にとっては何よりの活力となるのだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)