◆繊細な牝馬にとっては早めに権利を確保し、本番に向けて十分なお釣りを残すことが何より重要
クラシックを狙う3歳馬のローテーションは非常に重要、かつ難解だ。選択肢を間違えれば、余分なレースを使わなくてはならなくなるし、力はあるのにGIに出走できない最悪のケースも…。
特に桜花賞を目指す牝馬のそれは悩ましい。繊細な牝馬にとっては早めに権利を確保し、本番に向けて十分なお釣りを残すことが何より重要になってくるからだ。
レッドアヴァンセが1月9日に初勝利(京都芝内1600メートル未勝利戦(牝))を挙げた直後から、音無調教師の苦悩は始まった。テーマはもちろん「桜花賞に向けてのベストローテは?」だ。
「まずクイーンCはないな。関西馬があのレースを使いに東京まで輸送すると、体が減ってしまい、その後に影響が出る。去年のミッキークイーン(20キロ減で出走して2着)がそうだったでしょ。選択肢としては500万を勝たせてからチューリップ賞で権利を取りにいくか、オープンのエルフィンSを使うか。どちらかだな」
未勝利V直後にこう話していたトレーナーの最終決断は、土曜(6日)のエルフィンS(京都芝外1600メートル)出走。決断の決め手は?
「もうこれ以上、数は使えないからね。本当だったら新馬戦を勝ってなきゃいけない馬。それが初戦、2戦目と脚を余して(2着に)負けてしまった。もう余分なレースは使えない」
仮に500万下→チューリップ賞のローテなら、その両方でそれなりの仕上げが求められるが、エルフィンSを勝って賞金を加算しておけば、たとえこの後チューリップ賞を使うことになったとしても、そこは余裕残しの仕上げで本番に備えられる。裏を返せば、レッドアヴァンセにとって桜花賞に向けての真のトライアルは、このエルフィンSなのだ。
「前走にしても内の先行馬が軒並み残る馬場で、後ろから差し切った。相当強い競馬だったと思うんだ。なんとか桜花賞に使いたいし、ここでしっかり(賞金を加算して)権利を取っておきたい」
レッドアヴァンセのほかにも紅梅Sをハナ差で取りこぼしたワントゥワンなど、切羽詰まった勝負がかりの馬がチラホラいるこのエルフィンS。4・10桜花賞に向けて白熱の競馬が展開されることになりそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)