明らかに「不良」なのに「稍重」。馬場状態のギャップはいかがなものか
◆「実質、不良馬場みたいなものだった」
未勝利戦を不良馬場で圧勝した実績のあるトゥインクルの古閑助手は、ダイヤモンドS当日、降り出した雨に歓喜した。
「装鞍所に行ったあたりでは本降りになって、かなりの雨量に。本馬場入場した時にはもうグチャグチャで田んぼみたいな馬場になっていたから、これはチャンスが広がったと思った」
結果はご存じの通り、4角先頭という早過ぎる動き出しながら、そのまま4馬身差で圧勝。勝負どころでおっつけ気味だったライバルとは対照的に、持ったままで上がってきて押し切ってしまったのだから、まさに「21世紀のレインボーアンバー」(1989年、不良馬場で開催された弥生賞で1秒7差の大差勝ち)。現役屈指の道悪巧者と言えそうだ。
それにしても…。雨が降り続いている時の、実際の馬場状態と馬場発表のギャップはよくあることとはいえ、このダイヤモンドS時の公式発表上の馬場状態が「稍重」だったのはさすがに違和感を拭えない。
「トゥインクルは比較的泥をかぶらない位置で競馬をしてたのに、上がってきたら芝がべっとりついていた。他の馬なんてジョッキーも馬も泥だらけで真っ黒になっていたからね。実質、不良馬場みたいなものだった」とは前出の古閑助手。
続く最終レースの古馬1000万下も時計のかかり方(芝2000メートル=2分06秒5)を見れば、明らかに「不良」だったが、発表は変わらず「稍重」だったのだから、どうにも…。馬場の測定に時間がかかるから、という理由でこうしたギャップを放置しておくのはいかがなものか。「混乱するし、あんな時はむしろ馬場状態を表記しない方がいい」と言う関係者さえいる。
いずれにせよ、記録として永遠に残る以上、明らかに実態とかけ離れた馬場発表は考えものだろう。(栗東の坂路野郎・高岡功)