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高いポテンシャルを感じさせるアンソロポロジー

  • 2016年03月09日(水) 12時00分
【2歳】
アンソロポロジー(牡 美浦・菊沢隆徳 父トーセンホマレボシ、母スマイルサポート)
 母スマイルサポートは不出走馬ながら、ヴィクトワールピサ(11年ドバイワールドC-首G1、10年有馬記念-GI、10年皐月賞-GI)、アサクサデンエン(05年安田記念-GI)、スウィフトカレント(06年小倉記念-GIII、06年天皇賞・秋-GI・2着)を兄弟に持つ超良血。繁殖牝馬としては現1000万条件のトーセンラムセス(父トーセンファントム)を産んでいる。母の父Hallingは欧州10ハロン路線で名を挙げた名中距離馬で、英インターナショナルS、エクリプスSなど英仏で5つのG1を制した。父トーセンホマレボシは今年から産駒をデビューさせる新種牡馬で、ディープインパクトの後継種牡馬の1頭。現役時代は先行力を活かして京都新聞杯(GII・芝2200m)を2分10秒0のJRAレコードで快勝したほか、日本ダービー(GI)でも3着と粘った。産駒の期待は大きい。本馬は素軽いスピードを感じさせる芝中距離配合で、高いポテンシャルを感じさせる。期待できそうだ。

ファストソレル(牝 美浦・田村康仁 父タートルボウル、母ファストカラー)
 父タートルボウルはNorthern Dancer系の新種牡馬。全体としては非主流のヨーロッパ血統で構成されており、2代父Dyhim Diamondはスペインのリーディングサイアーで、3代父Night Shiftは地味ながら優れた能力を発揮した種牡馬。Sadler's Wellsやデインヒルといった癖の強い主流血統を含まないので、むしろ日本競馬に向く可能性があり、マイル前後に適性がありそうだ。母ファストカラーは未勝利だが、2代母ファストフレンドは帝王賞(JpnI)や東京大賞典(GI)など9つのダート重賞を制した女傑。本馬はNight Shift≒ノーザンテースト3×4で、ヴェンチア=Buisson Ardent 5×6。ヨーロッパで活躍した父の代表産駒Lucayan(12年仏2000ギニー-仏G1)とFrench Fifteen(11年クリテリウム国際-仏G1)は、いずれもヴェンチアのクロスを持っていたので、本馬の配合構成は好感が持てる。芝・ダート兼用のマイラー。

メモリーミネルバ(牝 美浦・田村康仁 父トーセンファントム、母トーセンミネルバ)
 父トーセンファントムは現役時代に新馬、OP特別を連勝し、東京スポーツ杯2歳S(GIII)ではローズキングダムのアタマ差2着だったが、故障のため2歳時に早期引退した。種牡馬としてはサウジアラビアロイヤルC(重賞)の覇者ブレイブスマッシュを出している。本馬は東京スポーツ杯2歳S(GIII)とサウジアラビアロイヤルC(重賞)で5着となったハレルヤボーイの全妹。母トーセンミネルバの半姉にはコスモフォーチュン(06年北九州記念-GIII)とコスモプラチナ(09年マーメイドS-GIII)が、近親には桜花賞馬ファイトガリバーがいる。活力ある牝系に属しているので楽しみが大きい。兄同様の活躍を期待したい。

【3歳】
アシャカキセキ(牡 美浦・鈴木伸尋 父ハービンジャー、母アステリオン)
 母アステリオンは未勝利も2代母フサイチエアデールは重賞を4勝した名牝で、4歳夏のマーメイドS(GIII)では58kgを背負って55kgのトゥザヴィクトリーに完勝するという破格のパフォーマンスを見せた。GIでは2着を重ねたが、能力は並のGI牝馬を上回るものがあった。父ハービンジャーは4歳夏のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1・芝12f)を11馬身差で圧勝するなど、欧州2400m路線で活躍した名馬で、産駒成績はいまのところ芝2000mベスト。ベルーフ(15年京成杯-GIII)、ドレッドノータス(15年京都2歳S-GIII)、プロフェット(16年京成杯-GIII)が重賞を制している。京成杯を2連覇しているように中山コースを最も得意としている。本馬は「ハービンジャー×フレンチデピュティ×サンデーサイレンス」という組み合わせで、持続力を武器とする芝中距離タイプだろう。母はパワー型だったので、その特徴が強く表現されればダ1800mタイプとなりそうだ。

パルトネルラーフ(牡 栗東・矢作芳人 父ヴァーミリアン、母サクセスウイッチ)
 マカニビスティー(父ゼンノロブロイ/10年名古屋グランプリ-JpnII・2着、12年日経新春杯-GII・3着、10年東京ダービー)の半弟で、イトコにサクセスブロッケン(09年フェブラリーS-GI、09年東京大賞典-JpnI)がいる。母の父ブライアンズタイムは強力なダート適性を与える血で、エスポワールシチー、ブルーコンコルド、ヴァンクルタテヤマ、ハタノヴァンクール、クロスクリーガー、グランドシチー、サンライズペガサスなどは「母の父ブライアンズタイム」から誕生した砂の名馬だ。父ヴァーミリアンは現役時代にダートGI/JpnIを9勝。JRAで唯一重賞を勝ったノットフォーマル(15年フェアリーS-GIII)は芝馬だが、産駒成績を集計するとダートに向いたタイプが断然多い。本馬はほぼ間違いなくダート向きだろう。スピードを活かしてダ1400mあたりを得意とするタイプになりそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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