馬の質の差だけでは、これほど差は開かない
Q.それまで追い込み一辺倒だった馬を外国人騎手が先行させて勝つことがよくあるように思います。外国人ジョッキーは、とにかく「前につける」ということを意識しているように見えますが、そもそも競馬に対する哲学や“騎乗とは何か”という根本的な部分について、日本人ジョッキーと違う点があるのでしょうか?
A.ベースとなる考え方は、日本人、外国人の違い以上に人それぞれだと思うが、ひとつ言えるのは、ヨーロッパで後方一気という競馬はほとんどないということ。なぜなら、ヨーロッパでは調教師のオーダーが絶対という風潮があり、特にフランスでは位置取りについてのオーダーの多くが、「好位3、4番手の内」だと聞く。そんななか、最後方から行って届かなければ叱責されるし、メディアも容赦なく辛辣な評価を下す。そのあたりは、日本よりはるかにシビアだ。
後方一気に限らず、サイレンススズカのような大逃げや、ローカルでよくあるマクリの競馬もヨーロッパでは観たことがない。おそらく、そういった競馬で勝ったところで、「なんて騎乗をするんだ」と、結果そのものを評価されることはないのだろう。
だから、ヨーロッパのジョッキーは、質問にあるように「とにかく前につける」という意識が強いのは確かだし、最近は日本でも、ゲートから出していっていいポジションを取り、好位で運ぶ競馬が求められていることを実感している。昔は追い込んで勝つ競馬がもう少し多かったように思うが、