話題の藤田菜七子騎手は……
先週の土日は中山競馬場でREXSの仕事。その関係で、中山のレースはほとんどライブで見ることができましたが、土曜日2Rの場内の歓声は気持ちいいものがありましたね。藤田菜七子騎手の逃げて差されて2着ではなく、後ろから差し届かずの2着でゴール前の歓声は全員が「菜七子」騎手を応援していたように思えました。競馬ファンの中にも賛否あるのでしょうが、個人的には女性ジョッキー誕生のおかげで、ひとりでも新しい競馬ファンが競馬場へ足を運んでくださることを歓迎したいと思います。
もうひとつ、ジョッキーの話題。C.ルメール騎手が跨る馬って、どうしてあんなに直線で伸びるのでしょう。直線、追えば追うほど伸びるとはこのことで、人気馬に騎乗していることを差し引いても強すぎます。馬に前へ行くよう促す際に手綱を握りながら、軽く肩鞭を入れていますが、あれがポイントのような気もしますし。いや〜、弥生賞でマカヒキを◎にしていた人間としては、あれだけ頼もしいドライバーはいません。
【中日新聞杯/サトノノブレス】
中途半端にレース間隔がひらいていることもあってか、この中間の動きはさほど目立ちませんでした。ただ、追い切り本数を積み重ねているように、追うごとに動きが良くなっているということは感じていました。
最終追い切りはプリンスダムを追走するCW追い切り。直線に向くまで、かなり落ち着いたラップだったこともありますが、跨った川田将雅騎手に追われてからの反応は抜群。これを見てしまうと、58キロでも無印というわけにはいきません。ただ、これまでの連対時に関しては、6F時計も速かったので、その点が違っている今回がどうなのか。そこだけでしょう。
川田将雅騎手に追われてからの反応は抜群だったサトノノブレス(3月8日撮影)
【中日新聞杯/クルーガー】
休み明けをひと叩きした後に1000万下、1600万下を中3週で続けて連勝。今回は中7週とレース間隔があくだけに、連勝の勢いがいったん落ち着くのか、それともパワーアップして戻ってくるのか。この点には興味がありましたが、さすが4歳馬、個人的には後者だと思います。
それを示したのが、2月24日のロスカボスとの坂路での併せ馬。帰厩して最初の追い切りということで、遅れてしまいましたが、1F11.9秒の伸びは文句なし。そして、最終追い切りは福永祐一騎手が跨って、ナムラシングンとの併せ馬。追走していましたが、最後は相手を弾き飛ばすようにして、先着のゴール。1F11.7秒は文句ない数字ですし、追い切り本数こそ標準ですが、時計は間違いなく前走以上を示す内容です。
時計は間違いなく前走以上を示す内容のクルーガー(3月8日撮影)
【中山牝馬S/シングウィズジョイ】
オークス以降、二桁着順が続いていましたが、予想コラムでも◎を打ち続けたように、そんな着順で終わるような馬ではないと思っていました。それを証明したのが、前走だったと思いますし、そこから再び上昇気流に乗っていくことができるかどうか。それが今回のレースでしょう。
個人的には勝ち負けは別として、春の大目標であるヴィクトリアMへ向けて、内容ある始動戦になれば、と思っていました。実際、調教の内容もゆったりとしていて、いい感じでしたが、先週の追い切りがこの馬らしさが出た、強烈なCWでの6F時計。そんなこともあってか、3月6日の坂路では少し手控えられています。しかし、そこで帳尻を合わせて、最終追い切りは前走とほぼ変わらない内容。個人的には馬体が極端に減ってしまわないかどうか、という点を気にしています。
馬体が極端に減ってしまわないかどうかが気になるシングウィズジョイ(3月8日撮影)
【フィリーズレビュー/キャンディバローズ】
前走阪神JFは1600mという距離に加えて、10キロの馬体減が影響しているというのが、個人的な考え方。もともと追い切り本数は少なくても好走しており、いかにも体のない馬の仕上げ方という感じですが、そもそもそれで好走しているのだから、問題はないのでしょう。
今回はファンタジーSと同じ休み明け。よって、馬体もいくらか戻っているでしょう。実際、中間の追い切り本数は少なく、やらなくても仕上がるタイプなのでしょう。それで余裕を持たせたのか、最終追い切りはしっかりと併せ馬を行ってきました。4F時計は自己ベストを更新、これは追い切り内容として評価すべきでしょう。ただ、ここまでやって、馬体重が戻っていなければ、それはそれで心配。レース当日になってみないと、評価の難しいところではないでしょうか。
4F時計は自己ベストを更新したキャンディバローズ(3月1日撮影)
【フィリーズレビュー/アットザシーサイド】
デビューから2連勝して、前走が5着。この負けをどのように判断するかによって、今回の取捨選択が変わってくると思いますが、個人的にはデビュー戦の時にレース前週の日曜日に坂路4F51.5秒としっかり時計を出す追い切りを行ったことが勝因だと思うので、前走時のような4F55.4秒の日曜追いは凡走につながったのではないかと考えています。
そういった意味で、9日の最終追い切りよりも重要だった6日の追い切り。時計は4F52.2秒なので、自己ベストには及ばない数字。時計の出やすい馬場状態を考慮すると、正直物足りなさは残ります。最終追い切りも前走時と比べて、4F時計は速いものの、2F時計は遅くなっています。前走実績をそのまま信じてよいものかどうか。個人的には疑問に思っています。
◆次走要注意
・3/5 オーシャンS【アルビアーノ】(1人/5着)
C.ルメール騎手の好調もあって、抜けた1番人気の支持。しかし、これが危険な人気馬であることは、ほとんどの競馬ファンが熟知していたはず。全くついていけずに終わると思っていましたが、最後の直線は前が塞がらなければ、というレースぶり。
追い切り本数も少なかったので、今度は中身も変わってくるはず。次走高松宮記念は絶対に注意すべき馬でしょう。
[メモ登録用コメント] [高松宮記念]調教タイプが標準併用なら勝ち負け
・3/6 上総S【ダノングッド】(4人/6着)
休み明けということもあって、追い切り本数は少なかったのですが、坂路4F時計だけは自己ベストを更新。スピードは見せても、スタミナが足りなかったという感じでしょう。
それでも0.8秒しか負けていませんし、もともと中山競馬場には実績がありません。京都開催になれば、この条件もあっさりクリアするでしょう。
[メモ登録用コメント] [京都ダート]調教タイプが標準多め坂路なら勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・阪神SJ【アップトゥデイト】
6歳という年齢を考えると、成長という言葉が適切かどうか分かりませんが、今回帰厩してからのパワーアップは半端ありません。追い切りでも行きたがるというよりも、パワーがありすぎて、前に推進する、そんな感じ。
最終追い切りもまさにその感じで、だからこそ、ラスト1Fが軽く13秒を切るようになったのでしょう。状態に関しては申し分ありません。