▲「しなやかな全身運動でストライドを伸ばす中距離馬に出たのは、配合的にも極めて順当」と望田潤氏(撮影:下野雄規)
ダービー以来の休み明けで、期待と不安の入り混じった復帰戦の中山記念。しかし、蓋をあけてみれば、リアルスティールなどライバルを退けてきっちり勝利。骨折前と変わらない「強い」ドゥラメンテは健在で、今回満を持しての海外挑戦となります。どうしてこんなにも強いのだろうか? その理由を「血統」「調教」「馬体」各分野のプロが3日間連続で分析していきます。
東京芝中距離においては世界最強の一頭
ドゥラメンテの3代母ダイナカールはオークス馬。母母エアグルーヴはオークスと天皇賞秋の勝ち馬。父キングカメハメハはダービーとNHKマイルCの勝ち馬。両親から東京の大レースに強い血を受け継いだダービー馬です。
配合的には、持続力に富む斬れ味を伝える「HyperionとNasrullah」の組み合わせ(以下ナスペリオンと略す)を計5つも持っている点に注目できます。
まず母系からみていきましょう。牝祖パロクサイドは「父父Nasrullah、母母父Hyperion」ですから、ここがまずナスペリオンですね。
エアグルーヴの父トニービンは東京コースで抜群に強い産駒を輩出しましたが(全GI勝ち13勝のうち11勝が東京芝)、このトニービンの母父Hornbeamも「父Hyperion、母父Nasrullah」のナスペリオンで、東京の長い直線で炸裂したナタの斬れ味は、主にこのHornbeam譲りと考えられます。