▲ヴィクトワールピサでの優勝から5年、日本の騎手となったデムーロが再びドバイでの勝利を目指す
二冠の衝撃を世界でも。ドゥラメンテがいよいよ、ドバイの地で「世界初戦」を迎える。大外から圧勝した皐月賞、レースレコードを塗り替えた日本ダービー、そして骨折を挟み先月の復帰戦・中山記念ではプラス18kgながら安定の勝ちっぷりだった。「今まで乗った中で一番強い」とミルコ・デムーロが自信を持つドゥラメンテは、秋に見据える凱旋門賞に向けて、今週末ドバイシーマクラシック(26日、UAEメイダン、芝2410m)で頂を目指す。(取材・文・写真:大恵陽子)
プラス18kgの復帰戦、太くはなかった
圧巻の強さで第82代日本ダービー馬となったドゥラメンテは、ダービーレコードの2分23秒2をマークした。初夏を思わせる日差しの下、鞍上のミルコ・デムーロは汗をにじませ、まだたどたどしかった日本語で喜びを表現した。
「超ウレシイです! すごく強い馬。直線はすごいキレ味でした。皐月賞ではテンションはすごく良かったけど、今日(日本ダービー)はテンションが高くて1〜2コーナーで行きたがった。テンションは一番大事」 その前向きさをダービー馬
「ネオユニヴァースと似ている」とも表現した。ドゥラメンテの持つこの大きな闘志は、爆発的な末脚の原動力の一つになっているのだろう。調教師の堀宣行はこのコンビをこう分析した。
「(デムーロは)馬の仕草や表情に敏感で繊細なジョッキー。そういった面が、折り合いや終いの伸びにつながっているのだと思います」 どこまでも広がる青空の下、秋に向けてドゥラメンテの大きな可能性も広がっていった。
しかし、その1か月後。両前脚の橈骨遠位端骨折が判明した。全治6か月。斤量のアドバンテージがある3歳での凱旋門賞挑戦、あるいは国内で三冠馬への道など秋に向けて膨らんでいたいくつかの夢は、泡となって消えた。しかしドゥラメンテへの高い期待は変わることなく、翌年へ向けてじっくりと休養に入ることになった。
待ちに待った復帰戦は、2月28日、中山記念。
9か月ぶりのレースで、直線で楽に抜け出し、ゴール前強襲するアンビシャスをクビ差凌ぎ1着で駆け抜けた。橋口弘次郎調教師の引退ムード一色に染まる阪神競馬場でも「やっぱりこの馬強いわ〜」という声が検量室付近で聞こえてきた。
▲ダービー以来の復帰戦となった中山記念、強いドゥラメンテは健在(撮影:下野雄規)
「中山記念の前に調教に乗りましたが、大きくなっていましたね。太くはなかったですよ」