◆地方出身の種牡馬としてかかる期待は大きい
20日の帯広競馬場では、ばんえい競馬のシーズンを締めくくるばんえい記念が行われた。毎年この日だけは競馬場の雰囲気が特別なもので、入場者は4,443名。1日の馬券の売上げも、普段の日曜日なら8千〜9千万円台のところ、1億3千万円余り売り上げる盛況だった。
ばんえい記念を勝ったのは、1番人気に支持されたフジダイビクトリー。第2障害を越えたのは4番手で、このときは騎手も調教師もなんとか2着があればと思ったそう。しかし障害先頭のニュータカラコマの脚色が鈍ったところ、ゴール前でとらえ見事に差し切るという、高重量のばんえい競馬らしい見応えのあるレースだった。ばんえい競馬は、27、28日の開催で2015年度のシーズンを終える。
一方、同じ北海道でも、門別のホッカイドウ競馬では、デビューを控えた2歳馬の能力検査が17日にスタート。あらたなシーズンが始まろうとしている。
2歳馬といえば、注目となるのは新種牡馬の産駒だ。すでに行われた17日、24日の能力検査にも多くの新種牡馬の産駒が出走していた。国内出走経験のある種牡馬では、スズカコーズウェイ、トランセンド、リーチザクラウン、フリオーソ、ヒルノダムール、ディープブリランテ、エイシンアポロン、スマートファルコン、オウケンブルースリなど(順不同)。輸入馬では、トビーズコーナー、ストリートセンス、サマーバード(2009年のJCダートに出走予定で来日したものの調教中の骨折で回避)らの産駒がいた。
地方競馬的なところでいえば、ライバルとして何度も対戦したフリオーソとスマートファルコンだろう。
フリオーソ産駒では、17日第10レースにハザードマップ(牝、母ニシノシャトル)が出走。800mを53秒2で駆け抜けた(この日の一番時計は50秒3)。スマートファルコン産駒は24日の能力検査に2頭が出走。まず第4レースのダンストンリアン(牝、母フローラルウインド)は54秒6。そして第6レースのラブミーファルコン(牝、母イシノラピド)は、50秒4でこの日の一番時計を記録。2着馬に1秒3差をつける走りを見せた。
フリオーソは初年度(2013年)に136頭に種付けし、誕生した今年の2歳馬は89頭が血統登録されている。さらに2014年には131頭、2015年には113頭と、3年連続で100頭超と交配。調べたわけではないが、デビューから引退まで地方に所属していた種牡馬の種付頭数としてはダントツではないだろうか。
そしてスマートファルコンの初年度の種付けは164頭で、血統登録された今年の2歳馬は99頭。種牡馬となっても、フリオーソとはほぼ同じ頭数の産駒でライバル関係となりそうだ。
かつてであれば、中央で活躍した馬でもダート馬は種牡馬になっても大成功という例はまったくといっていいほどなかった。しかしスマートファルコンの父であるゴールドアリュールの大成功以降は、たとえダートの活躍馬であっても、それだけで芝の活躍馬より下と見られることは少なくなった印象を受ける。地方出身の種牡馬として、フリオーソにかかる期待は大きい。