ダッシング 安田記念で浜中にまた乗ってもらいたいから…/トレセン発秘話
◆負傷を負った浜中は夜、吉村調教師に電話をかけ「馬は大丈夫ですか?」
東京新聞杯でダッシングブレイズ騎乗の浜中が、直線インを突いてラチに接触し、落馬したコース取りには、様々な意見が噴出した。浜中に「過怠金5万円」が科されたことからすれば、JRAの認定は“自爆”ということなのだろう。
しかし、管理する吉村調教師の見解は異なる。
「あのスペースは突くべきじゃなかったとか、否定的な意見もあるけど、確実にスペースはあったわけだからね。あそこで逆に追わなければ、それはそれでいろいろ言われていたはず。あの日、浜中はそれまでのレースに乗って傾向を感じ取り、“絶対内からの競馬じゃないとダメです”と言っていた。なんとかこの馬に重賞を取らせてやろうと思って、懸命に乗った結果の事故だったんだ」
脳震とうと左トウ骨遠位端など4か所の骨折という重傷を負った浜中だが、その日の夜には馬のことを心配して吉村調教師に電話をかけてきたという。
「夜の11時ごろかな。アイツが“馬は大丈夫ですか?”って。こっちは“お前の方は大丈夫なのか?”って言ったんだけど…。それだけ心配してくれていたんだよね」
幸いダッシングブレイズは「落馬した後、向正面ですぐ捕まったこともあって、なんのダメージもなかった。その後もここまで本当に慎重にやってきたけど、メンタル面での後遺症もなさそうだし、いい雰囲気ですよ」(吉村調教師)。
GIIIダービー卿CT(4月3日=中山芝外1600メートル)で改めて初重賞Vに挑戦するダッシングブレイズ。ここは今年の上半期の目標に設定している6・5安田記念に向けてぜひとも結果を出しておきたい一戦になる。「浜中も経過が良ければ5月中旬には復帰できるかもしれないと聞いているし、安田記念でまたこの馬に乗ってもらいたいからね。早いうちに賞金を加算したいところ」
安田記念といえば、例年、直前に行われるクラス再編成で4歳馬の収得賞金が半減されることもあって、それなりに実績を残している(4歳)馬でも除外になってしまうケースがよくある“残念なレース”。そういう事態に見舞われないためにも、ダッシングブレイズには早めに、より多くの賞金獲得が必要となる。
(栗東の坂路野郎・高岡功)