父ディープより見栄えのいい馬を出すと評判のディープブリランテ/吉田竜作マル秘週報
◆北出調教師「馬産地での評判もいいみたいだよ」
ディープインパクト産駒の現2歳世代は176頭が登録されているが、これだけいても東西トレセンの各厩舎に満遍なく行き渡るわけではない。
社台グループがバックアップする一口馬主系クラブの募集馬は、所属厩舎を見てわかる通り、ディープ産駒の中でもより良血の期待馬ほど“お抱え”と呼ばれる厩舎に振り分けられる。セレクトセールに上場し、高値で落札された馬にしても、やはり“それなり”のオーナーである場合が多く、リーディング上位の厩舎に預託されることになる。やはりディープ産駒は誰もが預かれる存在ではないのだ。
そんな背景があるからこそ、栗東ではこんなやりとりを時々耳にする。
A厩舎B助手「ついにウチにもディープ産駒が来ることになったよ」
C厩舎D助手「よく預けてもらえるな」
A厩舎B助手「まあ、ディープはディープでもスカイの方だけどな」
同じ日本ダービー馬ディープスカイ(2008年)には少々失礼な話だが、種付け料、入手困難度の違いを思えば致し方なしか。ただ、このお約束のやりとりにも最近、“発展型”ができつつある。
「ウチにもディープ産駒が入るよ」と振ってきた北出調教師に対して、「スカイの方とか言うんじゃないですか?」と切り返すと「いや、ブリランテの方だよ(笑い)」
そう、現2歳世代からディープインパクトを父に持つ、これも日本ダービー馬ディープブリランテ(12年)が、“ディープなやりとり”に加わることが確実に増えてくることが予想されるのだ。
「父のディープインパクトは線が細くて、小柄な産駒が多いけど、ディープブリランテの方は見栄えのいい馬を多く出すのかな? 馬産地での評判もいいみたいだよ」(北出調教師)
後々、北出厩舎のディープブリランテ産駒を当コラムで取り上げた際には「ああ、あの時の馬か」と思い出していただければ…。
もちろん、新種牡馬は産駒が走りだしてから「真の評価」が決まるものだが、思わぬ形で産駒が走る前に評価されている馬もいる。09年NHKマイルCの覇者ジョーカプチーノだ。
優駿スタリオンステーションで種牡馬入り。14年に初年度産駒、つまり現2歳の産駒が誕生した。当然、まだ答えは出ていない状況なのだが、現役時代に管理していた中竹調教師によれば「初年度産駒のデキが良かった」ため、「マイネル軍団」のビッグレッドファームが“青田買い”。優駿SSから同牧場へとトレードされたのだ。恐らく“相馬の神様”と呼ばれる岡田繁幸氏のお眼鏡にかなったのだろう。現2歳はわずか16頭ながら、「マイネル」の募集馬には、このジョーカプチーノ産駒(牡=母クリスビーナス)もエントリーされている。
スタートは決して恵まれた環境ではなかったにもかかわらず、人気種牡馬になったケースといえば、最近ではモーリス、ゴールドアクターらを出したスクリーンヒーローがいる。ビッグレッドファームのバックアップでジョーカプチーノが“第2の馬生”でも勝ち組となれるのか? まずは初年度産駒の2歳の走りに注目したい。