阪神競馬場に潜む“パドックの魔物”/トレセン発秘話
◆様々な音がパドックに反響する
桜花賞に担当馬ジープルメリアを登録した中峯キュウ務員が、2年前の実体験をもとに桜花賞のパドックにおける“魔物”の存在を解説してくれた。
「阪神競馬場のパドックは屋根があるので、他の競馬場に比べて音がこもって反響しやすい。だからテンションが高めの馬なんかはそれでイレ込んでしまうんだ。ホウライアキコ(14年桜花賞4着)の時は周回しているうちにどんどん馬のテンションが上がってしまって、あそこで終わってしまった感じだった」
パドックに大きな屋根がついているため音の逃げ場があまりない阪神では、様々な音がパドックに反響するので「馬がイレ込みやすい」という話は以前にも聞いたことがある。このあたりは、上が空一面でさえぎるものが何もない京都や東京などのパドックとは異質の構造といえるだろう。
実際、先週の阪神競馬場のパドックに行ってみたところ、実況の音声から、競馬場内にいる人の話し声まで、様々な音が中にこもっているような感覚に襲われた。GIともなれば、人の数も半端ではなく、その分“雑音”の音量も増大する。そこでうまく我慢が利くかどうかも、桜花賞制覇のための重要なポイントになるのでは。
その点、「パドックでも1、2周すればすぐ落ち着くし、競馬場に行ってから馬場入りまで、心配することはあまりないですね」と荻野斉助手が話すシンハライトは不安が少ないのかもしれない。実際、この馬はデビューから3戦ともパドックでは「1人引き」で落ち着き払っている。逆に気がかりなのはジュエラー。こちらは前走のチューリップ賞のパドックで「2人引き」だったし、ややテンションの高いところを見せていた。
メジャーエンブレムも含めた3強のパドックでの気配はしっかりチェックしなければならないだろう。(栗東の坂路野郎・高岡功)