皐月賞男のミルコ・デムーロ
3強対決とか、四天王の対戦というフレーズは、ことあるごとに「競馬はロマンだ」などと言いだすくらい時代がかったところがあり、スプリンターズSになると、半世紀以上も前の「電撃の6ハロン」のキャッチを引きずり出してくるのと同じくらい古典的である。とする説もあるが、しかし、「3強」というなら確かにそういう勢力図が描かれる年があるのも事実なので、今年はがまんして3強の表現を使ってみたい。
3強と考えられていたかは別に、皐月賞の「1着、2着、3着」が、「1、2、3」番人気馬の組み合わせで決着したことがどのくらいあるか?というと、直近のロゴタイプ=エピファネイア=コディーノの2013年を筆頭に、1990年にハクタイセイが勝った年まで、過去30年間に「5回」もある。
もう、だれが強いのか分かっているから、1番人気が高い勝率を誇り、順当なことが多いと考えられている日本ダービーでは、1、2、3番人気馬の組み合わせの決着は、過去30年間に「2回」である。日本ダービーの方が順当なイメージが強いが、実は、近年は皐月賞の方が平穏な決着が多い。
最近5年の皐月賞の「1着、2着」馬10頭は、順に「4、1、4、2、1、2、2、1、3、2」番人気馬によって占められているのである。
サトノダイヤモンド、
マカヒキ、
リオンディーズの3頭の持つ皐月賞制覇の可能性はほとんど互角の気がするが、多頭数の朝日杯FSを切り抜けている強みに加え、弥生賞は「59秒5-60秒4」=1分59秒9。3戦目とすると非常に厳しいレース内容で、レースレコードのクビ差2着した能力を評価し、リオンディーズを中心としたい。
騎乗するミルコ・デムーロ騎手は、近年の皐月賞男でもある。伝説の渡辺正人さん(1958年から3連勝)、通算3勝の武豊騎手、岡部騎手などを抜いて、ここまで【4-1-0-2】。たった7回しか騎乗していないのに、皐月賞最多勝騎手となっている。
デムーロはまた、近年のクラシック男でもあり、120戦して20勝の武豊には年齢、騎乗回数で追いつけないが、ここまで【7-2-2-12】。勝率.304。3着以内率.478だから素晴らしい。先週の2センチ差の桜花賞など、勝負強さや騎乗技術というより、運の強さと気迫だった。リオンディーズは自在に近い脚質だから、この外枠なら好きな位置が取れるはずである。
ルメール騎手のサトノダイヤモンドは、ここを勝てるなら春の二冠馬だろう。マカヒキも同様で、古馬相手ならともかく、日本ダービーの2400mなら乗り切れる。タメにタメて突っ込んだときの
ロードクエスト、穴馬
ミッキーロケット、超人気薄の
アドマイヤモラールを3着の候補に加えたい。