“かかりつけ”の助手が断言 サンライズメジャー勝負の時/トレセン発秘話
◆樋口助手「この馬はよく癖を知っているジョッキーの方がいいんだ」
競走馬の追い切りにはジョッキーが結構な割合で関わっているものだ。特に重賞に出走するような馬は1週前、もしくは当該週に騎手が追い切りをつけているケースが圧倒的に多い(先週の皐月賞の出走馬も、その条件に当てはまる馬がほとんどだった)。
そんな中、GIIマイラーズC(24日=京都芝外1600メートル)に出走するサンライズメジャーは“異端の存在”と言えようか。デビューから4年を超える、キャリア25戦のベテランながら、ジョッキーが追い切りをつけたケースはデビュー前のわずか数回だけ。あとはすべてキュウ舎の調教助手が行ってきた。
「ジョッキーが乗ったらひっかかってスムーズな調教ができなくなるからね。普段の調教も含めてこの馬は俺以外は誰も乗っていない。それだけ思い入れも強くなるよね」
こう語るのはサンライズメジャーが増本キュウ舎でデビューしてから、浜田キュウ舎に転キュウした今も、一貫して調教をつけている樋口助手だ。
デビュー当初からかかる面があって、下手な調教をすればスプリンターになってもおかしくなかったぐらいの馬を、ここまで我慢させ、距離を持つように馬をつくってきたのがこの男。増本師が死去し、キュウ舎が解散となった時、いろいろなキュウ舎から「ぜひウチに来てくれ」と相当数のスカウトの声がかかったことが、その調教技術の確かさを証明している。そんな信頼できる乗り手が「勝負できる状態」と言ってきたとなれば、見逃せるわけがない。
「前走(ダービー卿CT5着)? 気分良く行かせ過ぎたよね。あの競馬ではこの馬の持ち味が生きない。道中、我慢させて怒らせるぐらいじゃないと。去年のマイラーズC(2着)は逃げる形にはなったけど、そんな中でも十分脚をためられていた。そういう競馬をした時は不発がない。だからこの馬はよく癖を知っているジョッキーの方がいいんだ」
今回タッグを組むのはデビュー当時から手綱を取り、昨年のマイラーズCでも絶妙な手綱さばきを見せた四位。誰よりもサンライズメジャーの癖を熟知している鞍上と言っていい。
信頼できる調教助手の太鼓判と、癖を把握した騎手の騎乗…導き出される答えは、坂路野郎の◎がこの時点でほぼ決定してしまったということだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)