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高松宮記念週に突如高速化 中京芝に何が起きたのか?

  • 2016年04月25日(月) 18時01分
教えてノモケン

▲1分6秒7のレコード決着となった高松宮記念、勝ったのは福永騎手騎乗のビッグアーサー


 もう1か月近く前の話になるが、3月27日の高松宮記念(GI・芝1200m)開催週の中京競馬場は、芝コースが突如として高速化し、様々な臆測を呼んだ。1200mの従来のレコードは1分8秒0だったが、条件クラスで2度もレコードが更新された末、高松宮記念では1分6秒7で決着。一気に1秒3も短縮された。加えて、2200m戦(名古屋城S=1600万条件)でも、2分9秒9というJRAレコードが出た。中京の芝に何が起きたのか?

前週の極悪馬場から一変


 まずはこの週の中京の高速化ぶりを振り返っておく。26日(土曜)の10レース・岡崎特別(1000万条件、1200m)で、1分7秒4のレコードが出た。9番人気のシゲルチャグチャグが逃げ切る(前後半33秒6-33秒8)明らかな先行有利の状態。12レースの刈谷特別(500万条件、1600m)もレコードと0秒2差の1分33秒0で決着した。この時点で翌日の高松宮記念も、降雨がない限りレコード更新は確実視された。予想や前日発売でスノードラゴンを推した人や購入した人は後悔したに違いない(実は筆者もその1人だった)。

 27日は朝から高速決着が続いた。3、4レースの未勝利戦で1400m1分20秒4、2000mで1分59秒7。7レースの500万条件一般戦(1200m)では、前日のレコードを0秒1短縮する1分7秒3。10レースの名古屋城S(2200m)では、従来のJRAレコード2分10秒0を0秒1短縮し、2分9秒台の世界に入った。従来のレコードを出したのは、トーセンホマレボシ(12年京都新聞杯)。中京で勝ったグリュイエールは今後、重賞クラスに成長する可能性を秘めた素質馬だが、条件クラスで更新されたのも驚きだった。

 迎えた高松宮記念は、前後半の600mがそれぞれ32秒7-34秒0。予想通りローレルベローチェ、ハクサンムーンが先手を争い、2番人気のミッキーアイルが追いかけるハイペースとなった。だが、この週の芝1200mの傾向そのままに先行馬は止まらず、4番手を追走していたビッグアーサーが、先に先頭に立ったミッキーアイルをかわし、上位3頭が人気順に入線する順当な決着となった。

 中京がコース改修で現在の形態となった12年から、高松宮記念は今回で5度目となるが、過去4回は良馬場でなかった過去2年を含めて、前半600mはすべて34秒台。勝ち時計が最も速かった13年(優勝ロードカナロア)は、34秒3-33秒8の後傾ラップ。逃げたハクサンムーンが3着に粘る展開だったが、今回は当時のタイムを1秒4も更新した。この週の一連の流れを考慮すれば、出て当然と言える数字だった。

 だが、この週の高速馬場が意外に受け取られたのは、前週とあまりに対照的だったためだ。今年の中京3月開催は12日からの3週。2週目は19、21日(土、月)の変則開催。この2週目が雨の影響で2日とも相当にタイムを要していた。

 19日の朝からレース開始直前まで26mmの降雨があり、最終12レースまで終日、不良馬場だった。午後から天候は晴れに回復したが、馬場はなかなか乾かなかった。メーンのGIII、ファルコンSは800m45秒3の超ハイペースだったが、上がり600mは39秒7という近年でもめったに見ない数字で1分25秒0の決着。同日のタイムは短距離で3秒、中距離なら6秒遅い極悪馬場だった。

 しかも、問題は21日に入ってもさほど回復しなかった点だ。19日午後から21日まで好天が続いたのに、スタートはやや重。芝が良で行われたのは10レースからで、1000万条件特別(2000m)が2分2秒6、500万の1400m戦が1分23秒1。短距離で1秒5、中距離で2秒は遅い状況だった。これほど重かった馬場が中4日で突如、高速化したのである。

路盤の変化と「コインの裏表」


 なぜこんな反転が起きたのか? JRAの重岡真司・馬場土木課長は「中京の路盤の水はけが悪化していて、懸念していた」と明かす。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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