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パンドラ「目標は宝塚」でも「能力と底力でカバー」/トレセン発秘話

  • 2016年05月11日(水) 18時00分


◆「相撲でいえば、横綱になったようなもの」

 競走馬は毎回ベストの条件に使えるとは限らない。レース数が多い条件戦ならまだしも、GI路線で戦う馬となると、なおさらだ。

 過去の全勝ち鞍が距離2000メートル以上で、昨年は8着に敗れているショウナンパンドラにとって、今年も出走するヴィクトリアマイルの舞台、東京芝1600メートルがベストではないことは明らか。管理する高野調教師もそのことを否定することなく、こう公言している。

「本番は次の宝塚記念。このレースはそこに向けての体づくりの一環という意味もあります」

 一昨年の秋華賞、昨年のジャパンC優勝に、宝塚記念3着と、素晴らしい成績を残したGI3競走はいずれも「叩き3走目」。間隔を適度に空けながらの休養明け3走目がベストのパフォーマンスを見せられる。だからこそ、今年も中5週を2回挟む大阪杯→ヴィクトリアマイル→宝塚記念というローテを選択。上半期の目標である宝塚記念に向け、ここは「叩き台」として最適なのだ。

 では、ヴィクトリアマイルは“捨てゲーム”と考えていいのか?「立ち位置」的にそれが許されないところが、取捨を難しくさせる。

「相撲でいえば、横綱になったようなもの。これからは迎え撃つ立場になるし、ぶざまな競馬はできなくなった」

 これ、昨年のJCを制した後の高野調教師の発言。男馬を含めた古馬最高峰のレースを制したことで、その名に恥じない競馬をすることが常に求められる立場だけに、たとえ距離が多少忙しくても、牝馬限定GIでぶざまな競馬は見せられない。

「合っていない条件とはいえ、能力と底力でカバーできると思います。昨年と比べて今年の方がメンバーが分厚いですし、そうなると、かえって底力がものをいう競馬になると思いますから」

 なんでも大阪杯後に上向くのに時間がかかった昨年と比べ、今年は良くなるのが早く、その分調整もしやすかったとか。

「昨年はギリギリまで細かい調整をしなければいけなかったので、ずっとウチの助手を乗せて調整しましたが、今年はその必要もないので、先週まで2週連続でジョッキー(池添)に追い切ってもらったんです」

 JCホースとしての誇り、状態面の違い…もろもろの状況を考えれば、少々距離が短くても、「確実に勝負圏には顔を出してくる」が坂路野郎の見立てだが果たして!?
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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