サトノアラジンのようなダイナミックな走り! ディープ産駒アルアイン/吉田竜作マル秘週報
◆「ああいう見栄えのする走りをする馬はどうしても…」
2歳馬の取材は、記者がこの世界に足を突っ込んだ時と今では大きく様変わりした。個人的にはより関係者と親密になることで、取っておきの2歳馬の情報を聞き出すことを理想として取材活動を続けてきたつもりだが…。最近はPOG関連の情報が“商売になる”と浸透したことで、それこそ2歳馬専門の取材が頻繁に行われるようになった。ここまで過熱すると、取材を受ける側も「バラバラに来られるよりは一度にまとめて」となるのも無理はない。それこそ“共同記者会見”的な2歳馬取材が珍しくなくなったのが現状だ。
もちろん、2歳馬に興味を持ってくれる競馬ファンが増えたのはうれしいことだが、一ファンとして「POG本」を手にした時に、あまりに画一的で面白みに欠けると感じることが多くなった。手前みそな話になるが、本紙の「ザッツPOG」は各キュウ舎担当の記者が普段から取材を重ね、情報を蓄積してきた分、オリジナリティーが強く出ているものに仕上がったと思う。ぜひ手に取ってもらいたい。
2歳馬の取材攻勢が過熱すると、取材をする側も「何度も同じ質問をされて飽きてるだろうし、うっとうしく感じるのでは」と思ってしまうもの。まして天下の池江調教師ともなると、なおさらだ。それこそピンポイントに聞きたいことを切り出すしかない。
個人的にサトノアラジンの大跳び、かつしなやかな走法が大好きということもあり、「サトノアラジンのようなダイナミックで見栄えのするフットワークをする2歳馬はいますか?」と聞いたところ、思わぬ答えが返ってきた。
「ああいう見栄えのする走りをする馬はどうしても短い距離にシフトしていくものなんだよねえ。POGで考えると、どうなんだろうね」
これはPOGより、むしろ今週のダービーのヒントをもらえる流れとみた記者は「マカヒキは追い切りからすごい走りをしますよね。そう考えると、サトノダイヤモンドの方が長いところ向きの走りに思える」と振ってみたところ、「マカヒキのような馬がダービーを勝てば、これからの調教の仕方なども考えないといけなくなるかもね」。
サトノアラジンもクラシックでの活躍が期待された素質馬だったが、一番新しい勝利は距離1400メートルの京王杯SC。マカヒキにしても1200メートルのCBC賞を制したウリウリが全姉という血統背景がある。何より、どちらも追い切りは“キレッキレ”の走りを見せることで有名。これだけで「本質、短距離馬」と決めつけるのは危険だが、可能性のひとつとして頭に入れておく必要はある。実はマカヒキ本命を考えていた記者にとっては、大いに迷う事態になってしまったのだが…。
さて、お待ちかね。前出の質問に対して池江調教師から出てきた2歳馬はドバイマジェスティの子アルアイン(牡=父ディープインパクト)だ。「いずれは短いところに寄っていくかもしれないけど、同世代で走れるうちは、問題ないんじゃないかな」
自身のドラフトリスト筆頭がこのアルアインに決まったのは言うまでもない。