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海外帰りの人気馬

  • 2016年05月31日(火) 12時00分


かつては疲れなどのリスクを警戒したものだが…

 今週の安田記念は、モーリスとリアルスティール、2頭の海外帰りの馬が人気となる。

 かつては「遠征帰り」というと疲れなどのリスクを警戒したものだが、実は過去を含めたデータを見ても、使ってくる以上は大丈夫と考えたほうがよさそうである。

 1986年以降、前走で海外の競走に出走し、そのあと日本の重賞レースに出走したJRA調教馬はのべ171頭(実頭数では130頭だが、1頭で複数回がある)。その成績は[29-23-12-107]で、回収率は単75%・複87%。回収率は普通というところだ。

 ただその中でも、2つ特に強い条件がある。ひとつは1番人気になる馬。[18-8-4-11]で、回収率は単複ともに93%。人気になる前提なのでさすがに100%以上まで数字は伸ばせていないが、かなり高い水準だ。

 ちなみに単勝1.0〜1.4倍に推された3頭は全勝。1.5〜1.9倍は[7-2-1-2]。こちらで連を外した3頭はいずれも3歳馬で、4歳以上馬はパーフェクト連対を果たしている。

 もうひとつ成績の良い条件は、休み明けではないことだ。中10週以下で帰国緒戦に臨んだケースは[19-12-5-42]で、回収率は単102%・複101%。海外帰りで疲れているかもという心配は無用で、むしろ続戦のほうがよい。

 ちなみにこの条件下で1番人気になった古馬はかなり安定しており、[9-3-0-2]。着外2頭はエイシンプレストンの中山記念と安田記念で、03年ショウナンカンプの阪急杯以降はパーフェクト連対が続いている。

 以上の傾向からも、モーリスが崩れる形はなさそう。リアルスティールが2着に来たり、逆転する可能性はどの程度か、という見積もりが予想の軸になるだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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