▲9歳でさきたま杯を制したリミットレスビッド(写真は2009年JBCスプリント出走時 撮影:高橋正和)
重賞8勝馬リミットレスビッド 最後の勝利がさきたま杯
6月1日(水)、浦和競馬場で行われる『第20回さきたま杯』。年明けの根岸S、黒船賞、東京スプリント、かきつばた記念から続くダートスプリント戦線。2005年以降は11年間、1番人気もしくは2番人気の馬が1着となっており、1400mを得意とする重賞ウイナーや、ダートグレード競走で実績のある馬を素直に信頼するべきレースと言えるでしょう。
今回の出走メンバーを紹介する前に、高齢馬たちが話題を集めた2008年のさきたま杯を振り返りたいと思います。
レースは逃げたキングスゾーンが内、外にメイショウバトラー、中にプライドキム。3頭が横に広がって4コーナーを通過。プライドキムが失速し、直線でメイショウバトラーがキングスゾーンを振り切ったところに、外からリミットレスビッドが一気に差し切ってゴール!
見応え十分のレースを制したリミットレスビッドは、これで重賞8勝目となる9歳馬(以下すべて当時)でした。2着は前年の勝ち馬で、8歳牝馬のメイショウバトラー。3着は前年2着だった6歳馬キングスゾーン。4着プライドキム、5着フジノウェーブと重賞ウイナーたちが名前を並べます。
メンバー最年長の10歳馬コアレスタイムは6着に健闘。1番人気だったコンゴウリキシオーはスタートで出遅れて9着。そして着順は最下位でしたが、9歳馬マルカカイゼルは「このレースが104戦目」というのも当時の話題に上っていました。
1999年生まれのリミットレスビッドは父サンデーサイレンス、母エリザベスローズ、社台ファーム生産で全兄にフサイチゼノンやアグネスゴールドがいる超良血馬。タニノギムレットやシンボリクリスエス、ゴールドアリュールらと同期。兄たちの実績から芝のレースでデビューしますが、初勝利を挙げたのは3歳の6月、ダートの未勝利戦でした。
その後しばらく芝のレースに専念すると、徐々にクラスを上げオープン入り。2004年、5歳で初挑戦した重賞・CBC賞では3着と好走しますが、その後は勝ち切れないレースが続きます。
7歳になった2006年、久しぶりにダートに矛先を変えて出走したガーネットSを制し、重賞初制覇。続く根岸Sも勝ち重賞連勝。
▲重賞初制覇となった2006年のガーネットS(撮影:下野雄規)
そこで再び芝のレースに戻りCBC賞、北九州記念、セントウルSなどでも掲示板に載る走りを見せましたが、勝利は挙げられませんでした。その年、東京盃、兵庫GTと重賞を制し、2007年8歳で黒船賞、再び東京盃と兵庫GTを勝ち、2008年、9歳でさきたま杯を制覇することになります。
その経歴を見ると若い頃はレースを詰めて使うことができず、芝にダートに試行錯誤。実力が花開いたのは7歳になってからでした。その後11歳で引退するまで長く活躍し、重賞8勝を挙げた、遅咲きの名馬と言っていいでしょう。当時のダート短距離戦線には欠かすことのできない存在でした。
引退後は韓国で種牡馬入りし、済州島のミョンウォン牧場で暮らしているそうです。2012年生まれの現在4歳馬たちが初年度産駒で、13頭がデビュー。サンデーサイレンス産駒の貴重な血が注目を集めています。海を越えた地で頑張っているリミットレスビッド、産駒の活躍に期待したいですね。
▲現在は韓国で種牡馬に。サンデーサイレンス産駒の貴重な血が注目を集めている(撮影:高橋正和)
注目はソルテ!浦和コースパーフェクト連対
さあお待たせしました。それでは、好メンバーが揃った今年の出走馬の話題へと移って参りましょう。
今回の注目馬の筆頭は何と言ってもソルテ。7連勝で臨んだ前走・かしわ記念で2着と大健闘。JpnIの舞台で、中央のトップホースたちと互角に戦える力を見せてくれました。
▲かしわ記念のパドックにて(撮影:高橋正和)
▲コパノリッキーの2着と大健闘(写真最内、撮影:高橋正和)
実績十分なマイル戦と比べて1400mは3戦して[1-1-0-1]と経験は浅いですが、浦和コースでは[2-1-0-0]と100%連対しており、ここは負けられない1戦です。2011年のナイキマドリード以来となる地方馬の勝利をぜひ見せて欲しいと思います。
ソルテの行く手に立ちはだかる中央勢も強豪揃い。まず筆頭はコーリンベリー。牝馬ながらJBCスプリントを制した女傑。前走・東京スプリントでは好スタートから鮮やかに逃げ切り、JpnIホースの底力を見せてくれました。浦和コースは初めてですが、今回もスピードの違いを見せてくれそうです。
こちらも浦和が初めてのホワイトフーガ。関東オークス(2100m)、JBCレディスクラシック(1800m)、TCK女王盃(1800m)を制している長距離重賞ウイナー。今回距離が短いのでは? という声もありますが、1400m戦でも昨年5月、牡馬を相手に端午S(OP)を勝っており十分対応できるでしょう。
▲JBCレディスクラシック優勝時のホワイトフーガ(撮影:高橋正和)
忘れてはいけない実力馬ベストウォーリア。ユニコーンS、マイルCS南部杯連覇などマイル戦で活躍している印象が強いですが、1400mも[3-1-0-1]。その中にはプロキオンS連覇(2014年、2015年)も含まれており、当然上位争いに加わってくると思われます。南関東競馬を知り尽くした戸崎圭太騎手が鞍上というのも心強い材料です。
ドリームバレンチノは昨年の5着馬。近走でも掲示板に載る着順が続いており、まだまだ元気な9歳馬です。
最後に地方馬から岩手のラブバレットも挙げておきましょう。昨年のさきたま杯では見せ場十分の競馬をして4着。その後クラスターCでもダノンレジェンドの3着。笠松グランプリを制するなど1400mの成績は[3-1-0-4]と連対率50%。今回も上位争いに加わる可能性のある1頭です。
さきたま杯の地方馬の勝利は、2004年のロッキーアピールと2011年のナイキマドリードの2頭のみですが、昨年は3着に浦和のリアライズリンクス、一昨年の2014年は2着に川崎のトキノエクセレント、2013年は3着に船橋のナイキマドリードが入るなど過去をさかのぼっても馬券圏内に来ることが多く、地方競馬ファンとしては応援し甲斐のあるレースと言えます。
例年以上に好メンバーが揃った今年のさきたま杯。実力伯仲の1400m戦、馬券的にも非常に面白い一戦です。ぜひお見逃しなくご覧ください!
※次回の更新は6月8日(水)の18時。翌日に門別競馬場で行われる「北海道スプリントC」のコラムをお届けします!
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中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。