「非凡な脚力の持ち主」とは!?
先週11日は友駿ホースクラブのパドックセミナーで阪神競馬場へ。夏開催に足を運ぶのはかなりの久しぶりでしたが、かなり蒸し暑いですね。クールビズということで、半袖で講義させていただきましたが、ネクタイを締めていた首回りはびっしょり。発汗のきつい馬も数多くいましたが、あんな姿を見ていると、本当にご苦労様です。
栗東もちょっとずつ蒸し暑くなってきましたが、まだ夏バテという感じの馬は少ないように思います。ただ、これから先はどんどんと暑さが増していくでしょうから、追い切りもやりすぎよりは軽いくらいの方がいいかも知れません。このあたりの判断が難しいところですが、予想が本業ですから、泣き言はいってられません。なにせ、先週のウマい馬券では醜態を晒してしまいましたから…。
今週から函館競馬場が始まって、3場開催。函館SSに関しては、追い切りを見ることができていないので、当コラムではユニコーンSを中心に米子Sの最終追い切りを含めて調教診断とさせていただきます。
【ユニコーンS/ダノンフェイス】
追い切りでは常に後半2Fが素晴らしい動きを見せる馬で、今回も前走時同様に抜群の内容。2週続けてマズルファイヤーとの併せ馬でしたが、4F51秒台にも関わらず、2F24秒ちょっとでまとめてくるという、3歳馬にしては非凡な脚力の持ち主だという書き方をしたくなります。
ただ、2F24秒台は今回初めてマークしたわけではなく、前走時の1週前、未勝利1着時や新馬戦の最終追い切りでもマークしています。それだけに今回の追い切りが勝ちパターンの内容かといえば、新馬戦のように負けている時もあるわけで。前走が2ヶ月ぶりのレースで、馬体も少し太かったという敗因であれば、今回の追い切り内容なら絞れてくるでしょうし、そうなれば、前走以上のパフォーマンスを見せることはできるとしておきたいと思います。
前走以上のパフォーマンスを見せることができるダノンフェイス(6月15日撮影)
【ユニコーンS/ゴールドドリーム】
前走で連勝はストップしましたが、勝った馬を楽に逃げさせた展開があったとは思います。もともとJRAではメンバー最速上がりをマークするようなタイプだけに、前走でケチがついたと考えるのはどうでしょう。
今回はヒヤシンスSで経験した舞台ということもあって、当時と同じように仕上げてくると思っていました。ところが、6月12日に左回りのCWで時計を出し、最終追い切りもCW。サンライズミライを追走して、最後は楽に先着して、6F82.3秒と好時計をマーク。CWでの最終追い切りが今回初めてなので、これをどのように判断するか。この馬に◎を打つか否かはここの判断になりそうです。
CWでの最終追い切りが今回初めてとなるゴールドドリーム(6月14日撮影)
【ユニコーンS/クインズサターン】
前走がスタートを決めて、ある程度出していっての位置での競馬。「正直、あそこからどのくらいの脚が使えるかと思ったけど、最後は突き放して想像以上の内容」と野中賢二調教師も驚きの走り。あの走りができれば、メンバーが強くなるここでも十分に勝負になると思います。
最終追い切りは前走を彷彿させるような走り。ラスト1F標識手前までスノードルフィンの後ろで構えて、追い出されてからは力強い伸び。その結果、1F11.9秒というラスト1Fの自己ベストを更新。より末脚に磨きがかかっていると思えるだけに、あとは初騎乗になる石川裕紀人騎手がどんな競馬をしてくれるか。仮にここを除外になって、青梅特別に回ったとしても勝負になると思います。
より末脚に磨きがかかっているクインズサターン(6月15日撮影)
【ユニコーンS/ピットボス】
先週のCWではキタサンブラックのパートナーを務めましたが、手応え楽な動きにこの馬も走るなあという印象を受けました。坂路での追い切りは6月5日だけですが、この時もラスト1F12.3秒と鋭い伸びを見せており、地味に映っても性能の高さは調教で示しています。
最終追い切りはラガーギアチェンジとの併せ馬でしたが、時計は6F79.3秒。ラスト1Fも12.4秒と伸びていましたが、相手がかなり動いた印象。2走前に東京競馬場へ遠征した時は今回よりも7秒近く全体時計が遅く、手控えていたので、今回の強気の攻めがどのように出るか。レース当日、極端に体が減るようなことがなければ、強い負荷の効果が出てくれるような気がします。
極端に体が減らなければ、強い負荷の効果が出てくれるような気がするピットボス(6月15日撮影)
【米子S/クイーンズリング】
重賞2勝馬ですから、オープン特別では実績断然。なおかつ、M.デムーロ騎手ですから、正直ここは負けられないくらいでしょう。前走の敗因は追い切り本数が少なく、それが影響した太目だったと考えられるだけに、今回は追い切り本数も標準程度こなしており、絞れてくるのではないでしょうか。
ただ、意外だったのは最終追い切りの動き。CWで前にキミニヒトメボレ、後ろからエアアンセムという隊列の真ん中で、最後は3頭併せでしたが、ジョッキーが追っても反応は今ひとつ。結果的にキミニヒトメボレに遅れてしまい、手応えも劣勢。相手が動いたといってしまえばそれまでですが、この動きだけ見てしまうと、まだ太いのではないでしょうか。この時季ですから、レース当日までに絞れてくれば動けるでしょうが、そのあたりの馬体重にも注意を払いたいところ。
動きだけ見てしまうと、まだ太いのではないかと考えてしまうクイーンズリング(6月15日撮影)
◆次走要注意
・6/11 3歳上500万下【ジーブレイズ】(1人/2着)
パドックは周回当初から二人引きで発汗がきつく、どうも入れ込みが目立ちます。返し馬でもあまり指示通りに動こうとしないだけに、好走は難しいと思っていました。
ところが、後方からのレースで最後の直線は1頭違う伸び脚。前には届きませんでしたが、このクラスでの能力の高さは歴然。レース前にもう少し落ち着くことができれば、好位からの競馬で楽勝でしょう。
[メモ登録用コメント] [ダート短距離]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け
・6/12 三田特別【ジュンヴァルカン】(1人/1着)
予想以上に人気でしたが、きっちりと結果を出してくれました。小雨降る馬場で、パワーのあるところを見せてくれましたが、あとは距離が長くなっても大丈夫かどうか。
これまで通り、併用調教で仕上げていけば、折り合いの心配もないでしょうし、ここで小休止して、秋に向かっていけば。
[メモ登録用コメント] [菊花賞]標準多め併用で出走すれば勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・2歳新馬【マナープリンセス】
なかなか粒揃いの今週の阪神芝1600m。どの馬に◎を打つか悩んでいましたが、最終追い切りの動きを見て、これにしようと決めました。これまでもCW4F追い切りはやっている安田隆行厩舎ですが、3頭併せで最後方が大外を回って、差し切るというのはこの馬が初めて。この追い切り内容がレースでも活きてくると判断しました。
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