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【東京ダービー密着】的場文男騎手「一丸となって強い馬を」〜憂慮する南関の未来

  • 2016年06月17日(金) 18時01分
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▲「今年は個人的なことよりも…」騎手の立場から感じたという憂慮とは

大井の帝王・的場文男騎手の東京ダービーに密着したこのコラムも第4回を迎えました。締め括りとなる今回は、的場騎手ご本人にインタビュー。35回目の挑戦を振り返っていただき、ダービーに対する想い、そして南関東に対する想いを語っていただきました。(取材・文:赤見千尋)

まだ3歳、もうひと花咲かせられる


赤見 東京ダービー当日はものすごい人で賑わいました。パドックでは大きな声援や拍手が送られていましたが、的場騎手はどんなお気持ちでしたか?

的場 やっぱりダービーデーは特別な雰囲気になりますよね。僕自身も気合が入ると言うか、『一発やってやろう!』という気持ちでした。パドックでは今年もたくさんの方に声援をいただきましたし、僕の勝負服のデザインと同じジャンパーを着て応援に来てくれた方もいて。本当に有難いです。

赤見 東京ダービーでは逃げるのかなと思っていたのですが、好位内からの競馬になりましたね。

的場 スタート次第でハナに行けたら行こうかなとは考えていましたが、他にも速い馬がいたので行けなかったら3,4番手でもいいと思っていました。内のディーズプリモが速かったし、外からタービランスも来たのであまり主張せず、好位の内からになりました。

赤見 今回は掛かる面を考慮してチークピーシーズを外しましたが、その辺りの効果はいかがでしたか?

的場 ここ2戦と比べて道中で掛かるところはなかったんですけど、逆にもう一つの悪いところが出てしまいました…。3コーナーを回った頃から遊んでしまって、4コーナー手前で『もうやめた』って感じでハミを取らなくなって。一時期のケイアイレオーネもそうだったんですけど、大井の馬場でそういうレースをすることを覚えてしまったというか、クセになっているんです。京浜盃も羽田盃もそうですけど、能力はあるのに力を出し切れない。まぁ、まだ3歳ですから、その辺りが解消したらひと花咲かせられる馬ですよ。

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▲アンサンブルライフは無念の13着も「遊ぶクセさえ直れば、もうひと花咲かせられる」(写真:高橋正和)


転入初戦で圧勝「南関東を背負う馬を育てないと」


赤見 勝ったのは転入初戦のバルダッサーレでしたが、かなり強いレースでしたね。

的場 そうですね。勝った馬は本当に強かったです。だからこそ、地方側としては悔しい限りです。中央の500万を勝ったばかりの馬が来て、南関東のオープンをあっさり勝って行ったんですから。2年前のハッピースプリントだったり、何年か前のボンネビルレコードやフリオーソ、ナイキジャガー(96年羽田盃優勝馬、的場騎手が騎乗)辺りがいるようなメンバーだったら簡単には勝たせないですよ。時計的にも物語っていますよね。今年は勝ち馬が2分6秒9でしょう。ダービーは速い時5秒台が出る中で、その時計で圧勝されたんですから。恥ずかしいですが、今年はレベルが低かったと言わざるを得ません。そういう意味で言うと、去年今年と南関東のレベルが低くなってるなという気がしました。

赤見 でもソルテやハッピースプリントといった、JRAに対抗できる馬もいますよね。

的場 それは古馬の話でしょう。ダービーっていうのは一生に一回の特別なレースだからこそ、次に繋がるような舞台じゃないと。中央競馬もそうですけど、3歳世代が秋に古馬との戦いでどうなるかっていうのが面白いわけじゃないですか。だから2年前にハッピースプリントが古馬と戦う時、どんな戦いを見せてくれるかっていうので盛り上がったわけでしょう。そうなると全体が面白くなるんですよ。でもはっきり言って、去年も今年もソルテやハッピースプリント、僕が乗せてもらっているケイアイレオーネを脅かすような存在は見当たりません。これから南関東を背負って立つような新星が現れてくれないと、盛り上がらないんですよ。今年のダービーは個人的にというよりは、南関東に対する危機感が強かったです。関係者一丸となっていい馬を育てていかないといけないと、強く思いました。

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▲「個人的なことより、南関東に対する危機感。一丸となっていい馬を育てていかないと」


赤見 先日小久保智厩舎に取材に行った時、すごくカッコいい馬がいて、2歳だと聞いて驚きました。「来年、的場さんと一緒に東京ダービーを目指せたら嬉しい」と仰っていましたよ。

的場 もう年ですから、来年乗ってますかね(笑)? でもファンの方も応援してくれますし、関係者の方も応援してくれますし、本当に有難いです。来年も頑張れる以上は乗り続けたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします! (了)

■的場文男騎手の東京ダービーに完全密着



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