父の名誉を取り戻す
3歳後半からダート戦に転じた
エイシンバッケン(父ヨハネスブルグ)は、ここまでダート通算【3-2-1-1】。芝で7戦1勝にとどまっていた当時とは、一変して成績上昇中。まだ成長する気配をみせている。
父ヨハネスブルグは、2001年だけ日本で供用されたことのあるヘネシー(その父ストームキャット)産駒。ヘネシーは当時の日本では「単調すぎて難しい」とされたストームキャット系らしく、評判どおり勝ち上がり率は悪くはなかったが、代表産駒として名が残るのは07年の「フェブラリーS」を勝ったサンライズバッカスくらい。それでもGI馬を送ったから決して不成功とはいえない。
ところが、もっと勝ち上がり率の高さを誇るとして輸入されたヨハネスブルグは、たしかに侮りがたい高い勝ち馬率を示しているものの、交配条件が変わったことや、同じ軽種馬協会の種牡馬にもっと魅力的なエンパイアメーカーなどが導入された時期と重なったのが不運(良質の牝馬に恵まれない)だったのか、産駒の異常に少ない年度があったりし、成長して活躍する馬が少ない。早熟性と、素軽さを誇るスピード型にとって、どうやらパワフルな日本の公営競馬のダートが合わないと思える。アメリカのようなスピードの出る軽いコンディション向きなのだろう。同じダートなら、公営競馬場より、JRAの方が合うのかもしれない。
競走年齢に達した世代は4世代もいるが、名の知られる代表産駒は日曜の東京11Rに出走するホウライアキコ(デイリー杯2歳S勝ち馬)と、やっと頭角を現し始めたエイシンバッケンくらいなものである。同じヘネシーの後継種牡馬でも、へニーヒューズなどと比べてしまうと、ヨハネスブルグはいまのところ成功とはいえない。あくまでいまのところだが…。
頭角を現したエイシンバッケンは、ダート1400mの記録を「1分23秒4→1分23秒3→1分22秒6」に短縮しつつ、前回のオープンから、条件再編成の4歳馬だから今回は1600万下である。もっとがんばって、父ヨハネスブルグの失いつつある名誉を取り戻す産駒になってもらおう。
牝系の近いところに活躍馬は少ないが、サンデーサイレンスを配して生まれた祖母エイシンルーデンスはチューリップ賞、中山牝馬Sの勝ち馬であり、トウショウボーイ産駒の3代母エイシングレシャスも活躍馬。牝系は世界を代表する名門ファミリーであり、ちょっとさかのぼると、ニジンスキーなどを輩出したフレイミングペイジと同じ牝系でもある。4歳エイシンバッケンの進撃に注目したい。相手本線は同じ4歳の、同オーナーの
エイシンバランサー(父ゴーストザッパー)か。こちらも急上昇中のダート巧者である。