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「ダノンメジャーでの勝利は本当に大きかった」その真意とは

  • 2016年07月05日(火) 18時00分
小牧太

「ダノンメジャーでの勝利は本当に大きかった」という小牧騎手ですが…


宝塚記念のヒットザターゲットは、残念ながら10着に終わりました。今回は、その宝塚記念と、ダノンメジャー(6月19日・阪神9R・小豆島特別1着)、ビップライブリー(6月18日・阪神12R・3歳上500万下5着)のレースを回顧。「ダノンメジャーでの勝利は本当に大きかった」という小牧騎手ですが、はたしてその真意は!?
(取材・文/不破由妃子)


思わず、ジョッキーを辞めようかなぁ…と

──宝塚記念は10着に終わりました。枠順も馬場も、ヒットザターゲットにとっては厳しい条件でしたね。

小牧 そうやねぇ。馬場が悪かったせいももちろんあるんやろうけど、ペースが上がったところで全然付いて行かれへんかった。

──位置取りとしては、外枠からうまく内に入り込んだように見えました。

小牧 うん、うまいこと内は取れたんやけど、やっぱりメンバーが強かったんかなぁ。でも、直線もそれなりに差は詰めているし、ヒットザターゲットの力は出せたんかなと思うけど。手応えからすれば、よう10着に入ってくれたと思うよ。

──馬場の巧拙の差が出た印象ですね。なにしろ、勝ったマリアライトとは、目黒記念で好勝負しているわけですから。

小牧 そうやねんな。だから、力があることは間違いないんやけど…。順調なら、このあとは予定通り札幌記念。去年、いい競馬をしてくれた舞台でもあるし、改めてヒットザターゲットの力に期待したいね。

──はい。宝塚記念の前週には、ダノンメジャーでの勝利もありました。この馬での勝利は、14年の野路菊S以来、約1年9カ月ぶり。見事な逃げ切り勝ちでしたね。

小牧 前回、戸崎が乗ったレースを見て、あの競馬でアカンのやったら、どんなレースをしてもアカンな…と思ったので、極端なレースをしようと思ってた。戸崎が乗ったレースでもそうやったけど、最近は攻め馬でも周りの馬を気にして耳を絞るねん。馬込みがダメやねんな。これまでも、それで成績が出なかったんちゃうかな。

──ということは、最初からハナを切ろうと?

小牧 いや、1頭ハナにいく馬がいたんで、その馬を行かせて、2、3番手で競馬をしようと思ってた。まさかハナに行くとは思ってなかったんやけど、ゲートが速かったから行ったんやけどね。

──1000万でしたから、本来なら力が違うはずだと思って観ていました。

小牧 僕もそう思ってたんやけど、前走の降級戦がダメやったでしょう。これはもう、普通の競馬をしたら走らんなと思って。ただ、今後も逃げにはこだわらんよ。乗せてもらえる機会があったら、なるべく馬込みを避けて、好位で競馬をしようと思ってる。思えば、お父さんのダイワメジャーもそういう競馬やったからね。それにしても、あの1勝はうれしかった。前の日の土曜日が全然アカンくて、ちょっと落ち込んでいたから(苦笑)。そういう日もあるということは、長年の経験でわかってるんやけどね。

──ビップライブリーとか、ショウサングランドの日ですね?

小牧 そうそうそう! 勝てそうな馬で全然勝てなくて。5Rのラニカイタヤス(2歳新馬15着)もタイムオーバーになってしまってね。ビップライブリーは、普通の競馬をすれば勝てるやろうと思って自信を持って乗ったんやけど…。

──直線で狭くなってしまいましたね。

小牧 スタートを決めて好位で折り合って、4コーナーまでは完璧に乗ったつもりやったんやけどね。そこから自分でも詰まるところに行ってしまって。最後は追えんかったもんなぁ。スムーズに進路が取れれば、楽勝していたと思うわ。

──なるほど。自分に腹が立った一日だったわけですね。

小牧 ホンマにそう。思わず、もうジョッキー辞めようかな…と思ってしまったわ。僕の場合、常に一戦一戦が勝負になってきているからね。

小牧太

僕の場合、常に一戦一戦が勝負になってきているからね



──今は小牧さんに限らず、みんなそうですよね。なにしろ、ダービーを勝っても乗り替わりになる時代ですから。

小牧 ホンマやねぇ。まぁ、落ち込んだとしても、勝てばいっぺんに吹き飛ぶんやけど(笑)。そういう意味でも、ダノンメジャーでの1勝は大きかったわ。ただ、先週もタンギモウジアで負けてしまったし…(中京8R・3歳上500万下・1番人気4着)。

──ああ、52キロの馬ですね。

小牧 そうそう。僕ね、最近はよう走ってますわ。この前もトレセンのEコースを4周も走った(笑)。

──それはすごい! 乗り込み十分ですね(笑)。

小牧 やることはやっとかんと。体だけは作っておかなアカンと思って、日々頑張ってますわ。まぁ、ゲンキンなもので、勝てば気持ちがガラリと変わるのが僕のいいところなんやけど(笑)。

──今週は七夕賞です。安定のトップハンデではありますが。

小牧 そやねんなぁ。ただ、休み明けの新潟大賞典も頑張ってくれたし、何しろ馬に衰えは感じないからね。いい勝負ができると思いますわ。そういえば、美味しい牛タン屋さんをユタカくんに教えてもらってん。そこで祝杯をあげられたら最高やね。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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