オーナーの地元重賞で勝負仕上げカフジテイク/トレセン発秘話
◆湯窪調教師「競馬ってのは、どう転ぶか分からないよな」
予定通りに事が運んだからといって全てが順調にいくとは限らないし、逆に計算外の事態が起きても結果、吉と出るケースもある。GIIIプロキオンS(10日=中京ダ1400メートル)に出走するカフジテイクの前走、夏至Sはまさに後者の典型だった。中1週で東京に遠征し、見事1600万下を勝ち上がったわけだが、もともとはこの出走、プランにはなかったものなのだから…。
「中京の馬主さんということもあって、本当に使いたかったのは最終週(23日)の桶狭間S(1600万下)だったんです。そこに確実に使うための(権利取りの)投票が東京の夏至Sだったんだけど、除外にならずに入っちゃって…。それで使ったら、あの快勝だろ。競馬ってのは、どう転ぶか分からないよな」(湯窪調教師)
“プランB”で準オープンを卒業し、今回オーナーの地元開催の重賞にエントリーできたというのだから、まさに災い転じて福となす、とはこのことだろう。
加藤守オーナーといえば、2002年のGIII新潟大賞典(キングフィデリア)を最後に、JRAの重賞勝利から遠ざかっており、今回は久々の、しかも地元開催での重賞制覇のチャンス。陣営としても力が入るところだ。
「預託馬のローテーションとか、ジョッキーとか、何も言わずにこちらに任せてくれる器の大きなオーナーですから。ウチのキュウ舎ではカフジテイクの兄のテイクアベットで佐賀の重賞(12年の交流GIIIサマーチャンピオン)を勝っているけど、なんとか地元の中京で勝てれば最高だね」(湯窪調教師)
脚質が脚質だけに、展開に左右される面は否めないが、同じ中1週でも、除外を想定した調整だった前走と、オーナーの地元重賞の今回では仕上げも当然、違ってくる。陣営の勝負気配を考えれば、このカフジテイクには「印が絶対必要」と坂路野郎は考えている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)