▲今週はユーザー質問「相手を勝たせない老獪な騎乗も見てみたい」との質問に福永騎手の回答は
プロの仕事は“締める”より“空けない”
Q. 福永騎手は馬の能力を信じて、その力をすべて発揮させる騎乗をされていると思います。半面、相手の馬の能力を発揮させない騎乗はあまり見たことがありません。ファンとしては、相手を勝たせない老獪な騎乗も見てみたいのですが、福永騎手はどうお考えでしょうか?A. 老獪な騎乗というと、岡部さんを思い出す。入れそうで入れない絶妙なポジショニングを取り、相手の脚の勢いを削ぐ騎乗が本当に巧かった。もちろんそれはテクニックであり、高い次元でのインターフェア。誰もが同じようにできるプレーではない。自分も相手を動くに動けない状況に追い込むことも当然あるが、それはあくまで流れと位置取りの関係性のなかでの結果論。最初からそれを狙っていくような騎乗はしない。
馬券を買っている人のなかに、もっと強引な競馬やギリギリのプレーを望んでいる人がいるのは理解できるし、実際、そういった騎乗を良しとしているジョッキーもいる。ただ、質問者の言う通り、自分のスタンスは騎乗馬の能力を発揮させることが最優先であり、それができた上での駆け引きだと思う。ただでさえ危険な職業なのにより危険なことをして、また周りに危険な思いをさせてまで結果を得ようとは思わないし、たとえその考えを否定されたところで、それはもう競馬観の違いというほかない。
たとえば、勝負どころで抜け出すスペースがなかったとする。