マジェスティハーツ悲願の重賞初Vへ「四分の三蹄鉄」でびっしり調教/トレセン発秘話
◆悲願の初Vを決めるのが今年の関屋記念かもしれない
サマーマイルシリーズの1、2戦を形成する中京記念と関屋記念は、ともに左回りかつ直線の長いマイル戦。似通った条件であるにもかかわらず、その結びつきは薄い。シリーズが始まった2012年以降、中京記念の上位組はまったくと言っていいほど関屋記念で走っておらず、中京記念惨敗組が関屋記念で好走するという不思議な構図だ。
「そりゃ中京と新潟では馬場が違うもの。タフで坂のある中京と平坦で軽い新潟は別モノだよ」
こう話すのは音無キュウ舎の東田助手。13、14年の中京記念で2着した同キュウのミッキードリームは、続く関屋記念で2年続けて敗戦(11、8着)。やはり、中京記念と関屋記念は同じようであって異質なのか…。こんな関係者の話もある。
「夏場に中2週で重賞を連戦となると、初戦で激走した馬は回復し切れない可能性もある」
ともかく関屋記念で狙うべきは中京記念の負け組か、もしくは別路線組ということだ。
別路線で狙ってみたいのはマジェスティハーツ。前走の七夕賞は後方から何もせずに2秒3差負け(12着)だが、陣営を取材すると確たる敗因があった。
「挫石だよ。こっちに戻ってきてから歩様がおかしかった。左前の蹄鉄を見てみたら、何かを踏んだ跡があった。で、鉄を外したら、そこから血が出てきて…。返し馬でやってしまったのか、レースでなったのかは分からないけど、あれでは走れないのも無理はない」
中山助手はこう説明する。その後は患部を圧迫しないように、四分の三蹄鉄という特殊な装具を装着してびっしり調教ができている。
レースでもこの蹄鉄で臨む予定だ。
「左回りでは外にモタれるんだ。でも右回りで内にササる時は他馬を邪魔しちゃいけないから追いづらいけど、左回りで外に行く分には他馬のことを気にする必要はないからね。テンが速くなるマイルも歓迎だし、条件は申し分ないよ」
これまで重賞で2着4回。惜しいところで涙をのんできたこの馬が、悲願の初Vを決めるのが今年の関屋記念かもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)