◆サマーチャンピオンとクイーン賞・兵庫ゴールドトロフィーの違い
18日に佐賀で行われたサマーチャンピオンは、『交流重賞回顧』でも書いたとおり、実績上位でハンデの重い3頭での決着。55kg以上の3頭が上位を占め、6馬身もの差がついた4着以下はすべて53kg以下。明らかにハンデ差以上に実力の差があった。
これは今年に限ったことではなく、ここ5年のサマーチャンピオンを見ても、3着以内に入った15頭のうち13頭が55kg以上。軽ハンデで3着以内に入ったのは、2014年2着のピッチシフター(52kg・名古屋)、2013年3着のコスモワッチミー(52kg・高知)だけ。
地方のダートグレードでは、ほかにクイーン賞(船橋)、兵庫ゴールドトロフィー(園田)がハンデ戦で行われているが、牝馬限定のクイーン賞はトップハンデでも55〜56kgという年もあり、51〜53kgの軽ハンデの馬もたびたび上位に入着している。兵庫ゴールドトロフィーにはたびたびGI級の実績馬が出走してくるため、トップハンデ馬が59〜59.5kgを背負わされることもめずらしくなく、最軽量ハンデの51kgとは8kg以上の差がついて、51〜53kgの軽ハンデ馬も3着以内にそこそこ入っている。
こうしてみると、ハンデ戦でもサマーチャンピオンだけは、能力差を埋められるほどのハンデ差がついていないということが言える。
理由のひとつとして、クイーン賞と兵庫ゴールドトロフィーでは最軽量ハンデが51kgなのに対して、サマーチャンピオンは52kgまでとなっていることが挙げられる。
地方競馬では、見習騎手や女性騎手の減量は別として、一部の地区や重賞などを除いて、54kg未満の負担重量の設定がほとんどない。それゆえ騎手も年を重ねるごとに、“54kgで乗れれば”という体重の調整になってしまうことは想像に難くない。サマーチャンピオンのハンデの下限が52kgというのは、騎乗できる騎手が限られてしまうことを考慮してのものなのだろう。
その結果、サマーチャンピオンでは、ハンデ戦になった2007年以降、地元馬で3着以内に入ったのはわずかに1頭、2010年3着のマンオブパーサーがいるだけ。そのマンオブパーサーにしても、南関東のオープンから転入3戦目だっただけに、地元馬というにはやや違和感があった。
誤解を恐れずに言うなら、南関東や兵庫に較べて層の薄い佐賀であればこそ、大胆なハンデの設定が必要ではないか。さすがに今の時代にハンデの上を60kg以上に設定するわけにはいかないだろうから、下をクイーン賞や兵庫ゴールドトロフィーと同じ51kgには下げるべきだろう。ファンの馬券購買意欲を高めるためには50kgでもいい。
それによってベテラン騎手は乗れなくなるかもしれないが、若い騎手にチャンスがまわることになるし、今は重賞なら所属に関係なく地方の騎手ならどこからでも呼んでくることができる。
JpnIIIのハンデ戦なら、格下馬が一発逆転というレースもあっていいと思う。