◆ものすごい掘り出しものと、ものすごい落とし穴
8月22日からサマーセールがスタートした。今年は26日までの5日制で行われる。
HBAトレーニングセール→セレクトセール→セレクションセールとすごい勢いのセリが続いてきたので、サマーも売れまくるかどうかというのがまずは焦点。この原稿は初日のネット中継を見ながら書いているが、立ち上がりは意外と静か。100頭目あたりで売却率は50%を少し超えるくらい。単価も、少数のブランド種牡馬以外は派手には伸びていない。様子見なのか、セレクションまでで中央の調教師がある程度数を消化したためなのか、このあと明日以降も含めて見えてくるだろう。
POGは「馬主ごっこ」なので、野次馬の皆さんにもぜひセールには注目していただきたい。いかに馬を買って、しかも当てることが難しいか分かるだろう。HBAのサイトではカタログのほか測尺、リザーブ価格(当日以降)などもPDFで見られるので、よかったら「これ買うつもり」のごっこをやってみていただきたい。そのうえで数年後まで結果を追うと、馬の難しさが痛感できるはずだ。
なにしろ、プロにとってもサマーセールは難しい。ものすごい掘り出しものと、ものすごい落とし穴が両方いりまじっている。
現3〜7歳世代について振り返ってみよう。それぞれのサマーセールの価格中間値と1000万円以上の頭数は以下の通り。
3歳世代 中間値356万円、1000万円以上馬41頭(売却総数695頭)
4歳世代 同315万円、23頭(同618頭)
5歳世代 同325万円、37頭(同566頭)
6歳世代 同315万円、15頭(519頭)
7歳世代 同325万円、24頭(479頭)
地方に行く馬も多いので単純な見方はできないが、中央競馬における各世代の本賞金ベスト10馬に、価格中間値以下の馬が何頭入っていたかと、1000万円以上馬が何頭入っていたかを整理すると以下のようになる。
3歳世代 中間値以下2頭、1000万円以上馬2頭
4歳世代 同4頭、1頭
5歳世代 同3頭、0頭
6歳世代 同2頭、0頭
7歳世代 同9頭、0頭
現役馬が多い3歳世代は高馬優位の雰囲気になっているが、4歳以上では各15〜37頭いた1000万円以上馬で本賞金ベスト10に入れたのが1頭のみ。一方で7歳世代のように「並以下」の馬が走りまくった年もあれば、2012年にはいまをときめくモーリスが157万5000円でピンフックされている。
難しさと夢の同居するサマーセール。繰り返すが野次馬の皆さんも「参加したつもり」になって観戦してみてほしいものである。