シンハ不安なし 一方、ライバルのジュエラーは…/トレセン発秘話
◆春と変わらない状態で出走できればそれで十分
2003年スティルインラブ、10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ…牝馬3冠を達成した大物には共通点がある。秋初戦に前走比2桁増(スティルインラブ、アパパネに至ってはプラス20キロ超)の体重で出走し、次走の秋華賞へ余裕を持たせていた。で、前哨戦では勝とうが負けようが、きっちり本番をモノにしたわけだ。あくまで前哨戦は前哨戦と割り切った戦略。実際、その方が本番での変わり身も大きいように思える。
その観点でいくと、日曜(18日)の秋華賞トライアル・GIIローズS(阪神芝外1800メートル=3着まで優先出走権)を前に、「春とそんなに変わらない体重での出走になると思う」と石坂調教師が口にしているシンハライトは少々、心配になってくる。「夏の成長」+「余裕残しの仕上げ」で前哨戦に臨んでこそ、本番につながるVロードが完成するのではないのか?
しかし、そんな不安を打ち消したのが、01年テイエムオーシャン、06年カワカミプリンセスと、春のクラシックホースを見事、秋華賞でも勝たせてきた西浦調教師だ。
「秋初戦に余裕のある体で出したら、絞らなければいけなくなったりで、むしろ次がやりにくくなるって考え方もあるからね。初戦からある程度体をつくっていった方が、本番に向けての調整はより楽になる。だいたい走る馬は調教や競馬をしながら筋肉がついて体が増えていくもの。能力がある馬なら、春と変わらない状態で出走できれば、それで十分なんだよ」
シンハライトの1週前追い切りに騎乗した池添は、オークス制覇以来の背中の感触を「いい意味で変わらないですね。夏を無事に過ごしてきてくれた。それが一番」と話した。変わらない良さ、それがあれば十分ということなのだろう。
最大のライバルとなる桜花賞馬ジュエラーは骨折明け。管理する藤岡調教師が「時間的にはギリギリ」と話している状況を考えれば…。シンハライトは前哨戦のここを、反動が出ない程度の余裕を持って、きっちりモノにし、ラスト1冠の秋華賞につなげたいところだろう。(栗東の坂路野郎・高岡功)